フルブラウザ戦争が勃発--デファクトを狙うアプリ事業者の戦い - (page 3)

永井美智子(編集部)2005年07月06日 21時33分

受託開発事業との相乗効果を狙う--サイトスニーカー

 ユビキタスエンターテインメントのサイトスニーカーも広告とライセンス販売が収益源となっている。同社の場合、中心となるのはライセンス販売のほうだ。すでに複数のコンテンツプロバイダーと話し合いを進めているといい、パートナーのサービスとサイトスニーカーを組み合わせたモデルなどを検討している。

清水氏はZMPの開発したロボット「nuvo」にスケジュール管理アプリ「UBIMEMO(ユビメモ)」を搭載させるべく奮闘中だ

 広告については、同社が開発を受託した企業のサービスを掲載する考え。「『ユビキタスエンターテインメントに開発案件を委託するとサイトスニーカーに広告が載ります』というように売っていければいい」(ユビキタスエンターテインメント代表取締役社長兼CEOの清水亮氏)。なお、広告は各ページを読みこむ間に表示されるようになっており、ボタンを押すと広告の詳しい内容が見られるようになっている。

 「サイトスニーカーはほかの受託開発事業などの合間に作ったもの。4台のプロキシサーバで運用しており、コストはほとんどかかっていない。ライセンス販売だけでも十分に収支が合う」(清水氏)

 サイトスニーカーは当初4月25日から5月25日までの期間限定でベータテストをしていたが、ユーザーからの要望が多かったことからアプリの配布を再開した。累計ダウンロード数は約6万件という。8月8日には正式版をリリースする計画となっている。

 今後はサイトスニーカーの付加機能を充実させるよりも、ほかのアプリとの連携などを手がける考えだ。同社が提供しているスケジュール管理アプリ「UBIMEMO(ユビメモ)」と組み合わせ、ブラウザやRSSリーダーなどの機能を搭載した新しいPIMアプリを開発したいとしている。

 このほか、6月21日にibisBrowserベータ版をリリースしたアイビスも、ソフトウェアライセンスで収益を上げる考えだ。アイビスは「jigブラウザを見て、自社の技術力が生かせる分野だと考えてibisBrowserを開発した」と話す。ポータルサイトやショッピングサイト、コンテンツプロバイダをターゲットとしており、起動時に顧客企業のサイトを表示させるようにする。現在は数社と話し合いを進めている段階だ。なお、累計ダウンロード数は5万件程度という。

通信事業者の本格参入はアプリ事業者に「追い風」

 フルブラウザアプリの最大のライバルはプリインストール型のフルブラウザだろう。フルブラウザを内蔵した携帯電話端末は現在ドコモとKDDIが数機種ずつ出しているだけだが、今後通信事業者がフルブラウザを端末に標準搭載するようになれば、ブラウザアプリの立場は厳しくなる。PC用ブラウザではMicrosoftがWindows PCにInternet Exploreを標準搭載したことで、それまで大きなシェアを握っていたNetscape Navigatorを駆逐した。同じことが携帯電話のブラウザでも起きる可能性がある。

 しかし通信事業者がフルブラウザに参入してきたことを、ブラウザアプリ事業者は追い風ととらえているようだ。jig.jpの福野氏は「これまでフルブラウザの利用者はPCのヘビーユーザーが中心だった。しかし通信事業者が力を入れ始めたことで、今後はユーザー層が一般の人にも広がっていく」と指摘する。

 また、プログラマーズファクトリの小林氏は、「これまでブラウザアプリは有料のjigブラウザか無料のScopeかという戦いだった。ほかの企業が参入することでアプリの機能や品質で勝負するという健全な競争環境が生まれ、面白くなっている。我々はもともと競合の存在を前提にビジネスモデルを組んでいる」と話す。各社が切磋琢磨することでより良いサービスが生まれ、市場自体が広がると各社は見ているようだ。

jig.jp
プログラマーズファクトリ
ユビキタスエンターテインメント
アイビス

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