こうした事態が起これば、Ciscoにとって大きな打撃となるだろう。同社のIP電話関連製品は、今会計年度に10億ドルを超える売上を生み出すと予想されているほか、同社がインフラ用機器を販売する上でも役立っているからだ。同社では、IP電話関連製品の売上1ドルにつき、スイッチやルータなどの販売から4ドルの売上をあげていると、同社CTOのCharles Giancarloは言う。
「Microsoftが通信市場に参入しようとしているのは間違いなく、Ciscoはそのことで神経質になっている」とYankee GroupのアナリストZeus Kerravalaは言う。「Microsoftがこの市場の今後の展開に大きな影響力を持つのは明らかだ」(Kerravala)
両社が互いに相手の縄張りに入り込んでいる可能性については、CiscoのChambersも認めているが、ただし同氏はその点を重視していない。「われわれはこれまで、ともに首位に立つことに慣れていた。しかし、だからといって他社と協力しないわけではない。衝突するより協力したほうが必ず良い結果が出せるというのがわれわれの考え方だ。そのため、Microsoftと協力することはわれわれにとって最善の策といえる」(Chambers)
Microsoftの幹部らもこの意見に同意している。「CiscoとMicrosoftの提携関係はきわめて健全な状態にある。大半の顧客がMicrosoftのソフトウェアとCiscoのルータやスイッチを使っている。そのため、両社の製品や今後のロードマップを合致させることが重要だ」とMicrosoftのMarkezichは述べている。
むろん、CicsoがPC用OSビジネスに乗り出すこともなければ、Microsoftが企業や通信事業者向けのルータを販売することもないだろう。しかし、いまやともに大企業となった両社がこの先ますます頻繁にぶつかりあうことになるのは想像に難くない。
「両社の衝突は避けられない」と、Communications Network Architectsというコンサルティング会社のCEOであるFrank Dzubeckは言う。「Ciscoがソフトウェア分野に進出し、またMicrosoftが新しい技術分野に拡大していけば、両社のビジネスはオーバーラップすることになるだろう」(Dzubeck)
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