昨日の友は今日の敵?--シスコとマイクロソフトの微妙な関係 - (page 2)

Marguerite Reardon(CNET News.com)2005年07月04日 18時26分

 しかし、両社の対決を招くようなさまざまな取り組みがなされていたことから、この発表を聞いてはっとする人も少なくなかった。

 Ciscoは先ごろ「application-oriented networking(AON)」という新製品の取り組みを発表した。AONによって、同社はインターネット用ルータという従来の中核ビジネスを超え、アプリケーションミドルウェアの分野に進出することになる。同社は、この取り組みの一部としてIBMやSAPなど数社のパートナー企業を発表したが、Microsoftの名前はそのなかにはなかった。

 Microsoftの幹部らはこの点に直接触れるコメントはしようとせず、ただ「これは興味深く、われわれはさらに詳しいことを聞けると期待している。われわれは引き続きCiscoと数多くの取り組みで協力していく」と声明のなかで述べただけだった。

 アナリストらは、AONがMicrosoftのアプローチとは根本的に異なっていると考えている。「Microsoftのビジネスは、CiscoがAONについて話していることの対極にある」とPassmoreは言う。「Ciscoは、アプリケーションのインテリジェンスをデータセンターから取り出し、それをネットワーク全体に分散させたいと考えている。それに対し、Microsoftのビジネスでは、データセンターにおかれるサーバ用のソフトウェア販売が大きな部分を占めている」(Passmore)

 CiscoとMicrosoftが、主要な取り組みに関して真っ先に提携しなかったことは、今回が初めてではない。両社は2004年、それぞれの新しいセキュリティアーキテクチャを発表したが、その際にも相手の名前を挙げなかった。両社の提案したアーキテクチャには互換性がなく、両社の顧客はどちらかを選択することを迫られるのではないかと不安を抱いた。

 この発表から数カ月経った10月に、両社は協力を進めると公に発表したが、ただし具体的な点については曖昧なままだった。

 「CiscoとMicrosoftは今後も、Ciscoのネットワークインフラに組み込まれたセキュリティ機能と、MicrosoftのWindowsが持つセキュリティ機能とを協調させる作業を着実に進めていく」と、MicrosoftのJeff Price(Windows Server Division、シニアディレクター)は述べていた。

 両社はIP通信市場でも衝突する可能性がある。Microsoftが新しいVoIP機能を自社の「Live Communications Server」とOSソフトウェアに追加しているからだ。

 Live Communications Serverは、インスタントメッセージ(IM)機能やプレゼンス情報を提供するメッセージング用ソフトウェアで、現在はCiscoの「CallManager」というコール制御用ソフトウェアと連動するようになっている。しかし、Microsoftはコール制御機能を自社サーバに追加する可能性があると、アナリストらは指摘している。そうなれば、Ciscoをはじめ、AlcatelやSiemensといったネットワーク機器メーカーが提供するVoIPソフトの必要性がなくなってしまうだろう。

 MicrosoftのLive Communications Serverが、同社の「Exchange」電子メールサーバソフトと同じように大企業各社で採用された場合、CiscoのIP-PBXビジネスが窮地に陥ることになると、Passmoreは指摘している。

 Microsoftはまた、CiscoのIP電話ビジネスにも脅威を与えている。同社はすでにWindows XPに「Session Initiation Protocol」を使うソフトウェアを追加しているが、この技術を使えばPCを電話として利用することが可能になる。また2006年には、待望の次期Windows「Longhorn」が登場するが、同OSにはVoIP機能が組み込まれることになっている。そうなれば、PCユーザーはさらに簡単にブロードバンド回線経由で直接電話をかけられるようになるだろう。加えて、LonghornではBluetooth接続機能を持つ携帯電話機をVoIPネットワークにつなぐ機能も追加されることから、PCとこれらの電話との同期も可能になる。

 Microsoftが準備を進めるこれらの新しい機能により、CiscoのVoIPソフトウェアや端末が無用になる可能性がある。

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