グーグルvsヤフー--勝負を左右する企業文化の違い - (page 2)

Stefanie Olsen(CNET News.com)2005年06月27日 18時56分

 いまのところ、両社のビジネスはともに順調だ。2005年第1四半期に、Googleは12億6000万ドルの売上と3億6920万ドルの利益を記録した。この売上高は前年比2倍、そして利益はほぼ6倍にあたる。一方、Yahooも同四半期に、売上が前年比35%増の11億7000万ドルに達し、利益も倍増して2億500万ドルとなった。現在Yahooの時価総額が510億ドルであるのに対し、Googleは760億ドルとなっている。

 だが、同じ検索広告市場を狙う両社のアプローチは驚くほど異なる。これはそれぞれの経営陣のスキルの違いを反映したものといえる。

Yahooの目を覚まさせたSemel

 Semelは4年前、Yahooがおそらく最悪だった時期に、人気の高かった前任者のTim Koogleに変わって、同社のCEOに就任した。当時の同氏の評判は、大きな可能性をもつアイデアを見分ける目をもち、アドレス帳にはハリウッドの大立者の名前がぎっしり並ぶ、冗談の通じないビジネスマンというものだった。

 Semelは就任から1年後に、Dan RosensweigをCOO(最高業務責任者)に任命した。News.comを運営するCNET Networksの幹部だったRosensweigは、支出を切り詰め、各部門の収益性について個々人に責任を持たせるようにした。

 同時にYahooは積極的な買収を続け、2002年から2003年にかけて検索エンジンのInktomi(買収額:2億3500万ドル)、求人サイトのHotJobs(買収額:4億3600万ドル)、商用検索サービスプロバイダのOverture Services(買収額:17億ドル)を立て続けに獲得した。

 Yahooは2004年、利益が増加したにもかかわらず、財政的にリスクの少ないアプローチを採った。同社は有望な市場で活動する新興企業を対象に系統立った調査をかけ、めがねにかなった企業だけを買収した。その1例が先ごろ買収を発表したVoIPサービスプロバイダのDialPadだ。また、同社はこのほかに写真共有サイトのFlickrと電子メール企業のOddpostも買収した。同社が最近行った買収はどれも規模の小さなものばかりで、売上に影響を与えるものではないため、同社は買収額を公表していない。

 Yahooは、IT分野の革新的な企業というよりも、むしろメディア企業として新たな時代に入りつつあると考えるアナリストは多い。同社はハリウッドに拠点を構え、ABCの幹部だったLloyd Braunを新たに雇い入れて、エンターテインメント部門の指揮を執らせている。Semelはこの後より多くの時間をこちらのオフィスで過ごすことになると、複数の情報筋が述べている。同社はハリウッドに進出することで、他社との提携やコンテンツのライセンス、オリジナル番組の制作を行いやすくなるだろう。

 だからといって、Yahooが自社の独自技術をないがしろにしているというわけではない。同社を支持するある人間によると、Yahooの技術はGoogleの技術とそれほど差がなくなってきているという。YahooはOvertureを買収した際、一緒にAltaVistaとInktomiの2つの検索エンジンも手に入れた。これによって、トップレベルのエンジニアが同社に加わった。また、Yahooは先ごろNASAからYsama Fayyadを雇い入れ、研究部門の責任者に据えている。

 「自社の製品をスケールさせ、4億ユーザーに対応できるようにするには、非常に高度な技術面のスキルが必要とされる。Yahooはこれまで、そうした点で知られているわけではなかった。これを実現させるには、ロケットサイエンスが必要となる」と同社広報担当のJoanna Stevensは述べていた。

 また、Yangは「Project Guru」という取り組みで先頭に立ち、トップレベルのエンジニアを集めようとしている。同プロジェクトは検索アルゴリズムやネットコミュニティのようなさまざまな分野のエキスパートをスカウトするよう社員に呼びかけるものだ。

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