タマゴが先か、ニワトリが先か
このMicfosoftの計画の遅れによって、Trusted Computing Groupのペースが鈍ることはなかった。現在IntelやIBM、Sun Microsystemsなど70社以上の会員を抱える同コンソーシアムは、同グループ会員であるMicrosoftを待たずにソフトウェアの詳細を決定し、さらに先へと進んでいる
「彼らは、『これがタマゴが先かニワトリが先か、という問題になるなら、われわれはタマゴになって、(Microsoftを)待つことはしない」と言っている」とIDCのクライアントコンピューティング担当バイスプレジデント、Roger Kayは述べている。同氏の予測によると、2010年までには、販売される全コンピュータの95%以上にtrustedプラットフォームモジュールが組み込まれることになるという。
ソフトウェアについてはいくつかの支障があるが、それでも企業はハードウェアベースのセキュリティ機能を搭載したPCの購入を見合わせていない。多くの企業では近い将来に、ネットワークセキュリティと管理用アプリケーションをサポートするハードウェアが幅広く普及した時のことを見越しているとKayは言う。
「これは顧客にとって、遅かれ早かれ導入しなければならないアイテムだ。今はまだ使っていなくても、今後1年程度のうちにこのプラットフォームをサポートし始めることになると彼らは考えている」(Kay)
これらのセキュリティ機能を持ったPCプラットフォームに対応するアプリケーションはすでに存在する。しかしそれらは、どちらかというと地味なプログラムだとWave SystemsのBergerは述べている。
「現在出ているアプリケーションは『ハードウェアベースの暗号鍵で自分のデータを保護できるのか』といった、よりデータ中心的なものだ」(Berger)。Wave Systemsは、データ保護にTrusted Computingプラットフォームを使用する暗号化製品を開発している。
各PCメーカーも、アクセス管理や暗号化など基本的なデータセキュリティ機能用のコントロールパネルのついたシステムを発売している。
他の暗号化技術メーカーもTrusted Computing技術のサポートを検討している。Trusted Computing Groupの会員ではないEntrustは、この技術をサポートする決定を下したが、同社幹部によるとMicrosoftが期限を守れなかったことが、この決定に影響を与えることはなかったという。
「こうした事柄には数多くの企業が関与し活動している。そのため、1社が全力で活動していないからといって、全体が止まってしまうことはない」とEntrustの最高技術責任者(CTO)Chris Voiceは述べている。
Microsoftは、自社のtrusted PC関連製品について当初の暫定目標に間に合わなかったが、Longhornのリリース期限までにはまだ時間的余裕があるので、それには間に合わせられるはずだとIDCのKayは語った。
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