最初のケースはiPodの発表からわずか数週間後には登場していたが、iPod用アクセサリの本当のブームが始まったのは2003年のことだった。この時、AppleはBelkinと提携してiPod用のアクセサリをいくつか発表したが、そのなかには音声録音用のマイク、デジタルカメラのコネクタ、フラッシュメモリカードに保存したファイルをiPodに転送するデバイスなどが含まれていた。
Belkinがこれらの製品を販売し、AppleはiPodのソフトウェアをアップグレードして必要なサポートを提供した。常に秘密主義なところのあるAppleが他社とこれだけ密接な提携をおこなったのは前代未聞のことだった。
「あれはAppleにとってかなり異例のことだった。Appleはあの時、市場が必要とする何かがあることを感じとり、従来の方針を転換したのだ」(Van Harlingen)
ちょうど同じころに起きたもう1つの大きな転換は、Appleが標準のドックコネクタを採用したことだった。それ以来、iPodの底面にはすべてこのドックが装備されてきた。Appleは、このコネクタの設計にあたり、同社のドックにつなげるだけでなく、あらゆる種類のサードパーティー製アクセサリのゲートウェイとしても機能するようにした。
「あのコネクタのなかには、当初からあったのに今になってようやく活用され始めた機能もある」(Van Harlingen)
この複雑な30ピン・コネクタをAppleがiPod用に発表した時には、若干やりすぎと思えるところもあった。しかしVan Harlingenによると、Appleは同製品に幅広い用途を想定していただけだという。この純正のインターフェースによって、Appleはサードパーティ製アクセサリをいくぶんかはコントロールすることができ、同時に技術革新の余地も十分に残せることになっった。
さらに、 iPodがアクセサリメーカー各社に膨大な利益をもたらした一方で、これらのメーカーがつくるさまざまな製品がiPodに力を貸し、たくさんの競合製品との差別化に役立っているとVan Harlingenは言う。「iPodならそのまま装着するだけでBMWで音楽が聴ける。それなのにわざわざ他社の携帯音楽プレイヤーを買う人間がいるだろうか」(Van Harlingen)
また、 iPodを扱う小売業者にとってもアクセサリは好まれている。iPodの売れ行きが好調なのは明らかだが、小売業者のとれる利幅は少ない。それに対し、アクセサリは価格こそ低いものの、利幅はずっと大きい。
「アクセサリ市場の強みはそこにある。実はアクセサリが、iPodの流通チャネル全体に少しだけ多くの利益をもたらしているのだ」(Van Harlingen)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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