新分野への進出をはかるオープンソース - (page 3)

Martin LaMonica(CNET News.com)2004年12月13日 10時00分

未だシェアは奪えず

 大手商用ソフトメーカー各社によると、今のところオープンソースの代替製品によって商用ソフトの市場シェアや利幅が減少したということはないという。それどころか、Sun Microsystemsでは自社のJavaアプリケーションサーバスイートについて、オープンソース版の開発を検討したことがあると語った。

 市場全体から見ればオープンソースミドルウェアの市場シェアはまだわずかなものにすぎないが、オープンソースアプリやLinuxの利用者総数は増加し続けている。市場調査会社のGartnerが大手企業を対象に行なった調査によると、社内に多少なりともLinuxを導入していると答えた企業は全体の8割以上に上ったという。

 さらに、オープンソースの導入には、1つのパターンがすでに確立されている。Linuxを例に取ると、1990年代当初は、コモディティハードウェアサーバ上で、ウェブ/ファイルサーバといった単純なタスク用に使用されるにすぎなかった。しかし、同OSは今や主流製品の仲間入りを果たし、UnixやWindowsに代わる低価格OSとして、各部門のサーバから高性能コンピュータ、そしてデスクトップ用OSなど、あらゆる用途に利用されている。

 オープンソースのJavaアプリケーションサーバ、データベース、開発ツールも急速に知名度を上げている。社名と同名のアプリケーションサーバ向けにサポートを販売しているJBossやオープンソースデータベース企業のMySQLは、過去1年間で一気に有名になった。

 Gartnerが先月発表した報告によると、Linuxやオープンソースアプリの普及を妨げている要因の1つは、大手企業がリスクをどこまで許容できるかという問題だという。このリスクには、様々なソースから寄せ集めたアプリケーション群へのサポートも含まれているが、Gluecodeなどはそうしたサポートを提供していこうと考えている。

 オープンソースにはこの他にも、知的所有権の問題や法律上のトラブル発生のリスクが存在し、これらは今後5年間にLinuxやその他のオープンソースアプリがさらに普及していく上で大きな課題となる、とGartnerは指摘する。Red HatやNovellなど一部の企業では、Linux製品を採用する顧客に対して、法的保護サービスの提供を開始している。

 BEAのCEO、Alfred Chuangは先月、いまのところオープンソースのJavaアプリケーションサーバ--なかでもJbossが、同社からビジネスを奪ったことはないと述べた。「企業が(オープンソースのJavaアプリケーションサーバを)導入するのは見たことがない。オープンソース製品は我々にとって脅威でも何でもない」(Alfred Chuang)

 MicrosoftのMartin Taylor(プラットフォーム戦略担当ゼネラルマネージャ)は、オープンソースのミドルウェアコンポーネントを数多く組み合わせると、「確かに我々の製品に似てくる」としながらも、大半の顧客はローレベルのソフトウェアを統合することに時間と労力を費やしたがらないと語る。さらにTaylorは、各企業はパッケージ化されたアプリケーションについて、オープンソースソフト上での動作が保証されているか否かを考慮する必要があると指摘した。

 「ある製品がオープンソースとして存在しているか否かの問題ではない。これは、スタック全体の統合レベルや、調整/構築のための作業量の問題だ」(Taylor)

 しかし、十分に優れたソフトは企業内に居場所を見つけている。また、プロプライエタリなアプローチとオープンソースのアプローチが同一企業内で共存できる余地もありそうだ。調査会社Forrester Researchのアナリスト、Henry Peyretによると、営利企業は最も高性能な機能を追及するのに対し、オープンソースミドルウェアプロジェクトは一般に市場のローエンド部分に重点を置いているという。そのため、オープンソース製品が必ずしも既存の製品と直接競合するとは限らない、とPeyretは指摘する。

 Peyretは「一部の顧客は、たとえ全ての機能を備えていなくても十分に優れた品質の製品があれば、そちらを選択すると認めている」と述べ、さらに「特定の機能が必要な場合、彼らは企業全体ではなく、一部の部門だけに商用製品を導入しようとする」と付け加えた。

 オープンソースのミドルウェア製品の導入には、リスクを受け入れる心構えと専門技能を有する社員の確保が要求される、とManesは語る。オープンソースプロジェクトは失敗に終わる可能性が高く、また商用サポートの信頼性も必ずしも明確というわけではない。

 「ある企業が、サポートに多大な労力を費やし、リスクを冒してでもこのオープンソース技術を使いたがるか、それともIBM製品を採用するかは、その企業の文化の問題だ」(Manes)

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