Firefoxは宝の山 - (page 2)

Paul Festa(CNET News.com)2004年11月29日 10時00分

 Mozillaプロジェクトを活用して利益を得ている会社はMozdev Groupだけではない。Mozilla Foundationの立ち上げメンバーで、マーケティング等を担当していたBart Decremは今月、同グループを離れ、MozSourceを設立した。MozSourceは、MozillaやNetscape関連のオンラインショップを管理する独立の営利企業だ。

 Mozilla Foundationも2003年の設立以来TシャツやCDを販売してきたが、Decremは、Firefoxユーザ向けに、ウェブベースの技術サポートやウイルス対策用拡張機能といった新しいソフトウェアやサービスを提供する予定だ。

 Linspire(旧称Lindows)は、Mozillaの開発に携わっていたDaniel Glazmanを後援し、NvuというMozillaベースのHTMLエディタの開発を後押しした。

 このほか、自社のエンジニアを使って、Firefox対応の製品を開発した企業もある。Amazon.comのA9 toolbar 、Bloglines、Vivisimoなどはその代表例だ。

 Nokiaは、Mozillaベースの携帯電話向けブラウザを開発するMinimoプロジェクトに投資している。自社のNetscape部門が開発したMozillaベースの製品を無視し、IEを使い続けてきたAOLでさえ、開発体制を刷新してNetscapeブラウザを再生させようとしている。

 各企業でこうした動きが起こった結果、ボランティアとして経験を積んだMozilla開発者たちが、関連する仕事につくようになっている。これは、Mozillaに限らず、オープンソース市場全体で見られる傾向だ。

「こうした開発者たちが引っ張りだこだ」と、カリフォルニア大学アーバイン校のソフトウェア研究所でオープンソースの世界を研究しているWalt Scacchiは語り、その理由を次のように説明した。「Mozillaのユーザ層が拡大すると、それまでMozilla開発の中心メンバーとして活躍してきたソフトウェア開発者たちは、他の開発者たちには入り込めない自分たちだけの市場機会を獲得することになる。数百万のユーザが使用するソフトウェアシステムの開発に携わったというのは、ほとんどの開発者が経験してないことをやったという証明になる」

 こうしたコアの開発メンバーたちは、平均的なソフトウェア開発者よりも、5〜15%高いサラリーを期待できるとScacchiは指摘した。

 Mozilla Foundationの関係者は、同グループがあくまで非営利組織であることを強調する次のような声明を出しただけで、インタビューに応じなかった。

 「営利活動の機会全般に関して、Mozilla Foundationの多くのメンバーがオープンソース全般、特にFirefoxから利益を上げる方法についてさまざまな意見を聞かされている。しかし、Mozilla Foundationの目的は非営利組織として、我々の開発したソフトウェアによって、ユーザエクスペリエンスを向上させ、ユーザに選択の余地を与え、インターネット上での革命を促すという使命を実現することだ」

 こうした建前とは別に、Mozillaやその他のオープンソースプロジェクトに関わる開発者らは、本音の部分でお金持ちになりたいと考えているのではないか。Scacchiにこの疑問をぶつけてみたところ、「それはない」と答えが返ってきた。

 「オープンソースの開発者たちがそうしたプロジェクトに参加しているのは、新しく出てきた先進のツールについて学んだり、これらのプロジェクトで採用されているテクニックや方法を学ぶことができるからだ。しかし、結果的に、そういう場で自身の専門知識を示せる人間は、最も価値のある人間として評価される。つまり、まず社会的に評価され、その後に経済的な評価がついてくるということだ。何か良いことをしてそれが人々に理解されれば、それがその人の人間的価値を高めることになる」 (Scacchi)

 IEの圧倒的優位にもかかわらず、Mozillaの支持者たちは自らの開発するブラウザや、それに関連したサービスが、プロプライエタリではない故に開発者たちに訴求するはずだという。

 「オープンソースであることは、Mozillaが競争優位を獲得するために最も重要な点だ。Firefox、Thunderbird、その他のMozilla関連技術は、我々のようなサードパーティ企業にとってはすばらしいプラットフォームとなる。数百万のFirefoxユーザは、ウェブ上で最も活発な人たちであり、Mozillaはすべてのユーザを歓迎するオープンなプラットフォームを提供してくれる」(Decrem)

 オープンソースコミュニティから生まれたMozilla同様、Mozillaベースの開発企業の社員構成も国際色豊かだ。

 たとえば、Mozdev Groupの7人の社員のうち、4人はスロベニア、スロバキア、イギリス、カナダにおり、Collinsを含めアメリカに在住している社員は少数派である。

 利益目的でオープンソースを活用する場合は、こうした国際性が重要になる。有名企業にアピールできるような職務履歴を積みたいと思っている途上国のエンジニアたちを採用する場合はなおさらだとScacchiは述べている。

 Collinsは、自分の直感を信じて人気のない馬に賭けた人間だけが味わう満足感に浸りながら、Firefoxの成功ぶりを眺めている。

 「Firefoxが普及するにつれて、関連市場も広がる」というCollinsは、Mozdev Groupへの投資は賭けだったと語る。「そうなれば、多くの企業がFirefoxで十分に問題を解決できることに気づくだろう。そうして顧客が増え、我々がサービスを提供できる市場も大きくなる」(Collins)

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