携帯電話業界では、今後も料金の支払い方法としてダイレクト・トゥ・ビルが最も良く利用されると見られている。携帯通信キャリア各社は顧客に対し、コンテンツの代金を携帯電話料金の請求書に加算するやり方で、コンテンツのダウンロード販売を売り込んでいる。一方、他分野のコンテンツプロバイダは依然として、サブスクリプション形式の支払いを選ぶ傾向にある。月間/年間利用料の一括払いは、通常ある程度まとまった額になるため、クレジットカード決済の手数料を吸収しやすい。
MercatorのHollandは、「ベンダーは誰でもサブスクリプション形式で販売したいと考えているが、当初は消費者が利用しやすい別の形式でスタートする必要がある。別種のマイクロペイメントを利用すれば、購入者と取引関係に入ることができる」と述べ、さらに「多くのコンテンツ企業は、マイクロペイメントを将来のサブスクリプション契約への足掛かりにしようと考えるだろう」と語った。
マイクロペイメント業界で、他の代替ペイメント技術を利用してシェアを争っているベンダーには、BitPassやPeppercoinなどがある。両社のマイクロペイメントビジネスへのアプローチは他社とは全く異なっている。Peppercoinは、各ベンダーのマイクロペイメント決済をまとめることで、クレジットカードの手数料コストの削減を支援しているが、一方のBitPassは前払いアカウントや決済サービスを提供し、売り手と買い手の双方を支援している。
BitPassのシステムは、多くのコンビニエンスストアで購入可能なプリペイド式のテレホンカードと非常によく似ている。顧客はデビットアカウントにあらかじめ一定の金額を入金しておくことで、同社と提携している全てのサイト上でその資金を使用することができる。各ベンダーは、BitPassが無料で提供しているクライアントソフトをダウンロードするだけで、BitPassカードの取り扱いを開始できる。
BitPassのCEO、Michael O'Donnellは、「ペイメント技術の最初の波、特にオンライン通貨企業の技術は、あまりに時代を先取りしすぎていたため、Eコマースの発展がそれに追いつかず、成功しなかった。またコンテンツ企業も当時はまだ各種ペイメント技術を取り扱う体制が整っていなかった」と述べ、さらに「オンラインペイメントの革新は、無料コンテンツからサブスクリプション、さらに今や単品販売へと移行しつつあり、ベンダーおよび消費者の選択肢は急拡大している」と語った。
一方Peppercoin(マサチューセッツ州ウォルサム)は、Eコマースベンダーを正面から重視している。同社は、ベンダーとクレジットカード会社の仲介人の役割を果たしている。ベンダーはPeppercoinのサービスを利用することにより、少額取引の料金をまとめて大きな金額にして請求でき、それによりクレジットカードの手数料コストを削減できる。
Peppercoinは昨年、Smithsonian Instituteと契約を交わし、同機関のアーカイブ内に保存されている音楽ファイルの1曲単位での販売を支援することで合意した。Smithsonian Instituteは、かつてこの販売を試みた際に利益から取引手数料としてクレジットカード会社に取られる割合が大きく、販売事業の運営に大変苦労した経験がある。
Peppercoinのマーケティング担当バイスプレジデント、Rob Carneyによると、デジタルコンテンツに対する需要増により、マイクロペイメント市場の短期的成長が促進されているが、同市場はその後さらに大きな成長が見込めるという。
Carneyは「デジタルコンテンツ、とりわけ音楽のオンライン販売により、マイクロペイメントに対する注目度はかつてないほど高まっているが、それは当然といえる。出荷費用がかかる製品を数ドルの値段でわざわざインターネット上で販売しようと誰が思うだろうか」と述べ、さらに「現在、オンライン販売される商品の主流はデジタルコンテンツだが、現物商品を販売できる可能性を考えれば、デジタルコンテンツ販売はまだほんの序の口と言える」と語った。
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