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「ウィンテル帝国滅亡史」のはじまり

2004/08/11 10:00
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 業績は順調だが、内部は混乱。

 あるアナリストは、Microsoftの度重なる製品開発の遅れをこう説明した。この言葉は、チップメーカー最大手のIntelで起こっている同様の問題にも当てはまる。両社の社員たちに、苦しみ疲れ切っている様子はなく、ただ過去の成功と先行きのはっきりしない状況の中で、だらだらと仕事をこなしているように見える。

 次のような情景が目に浮かぶ。あなたはMicrosoftのWindows製品マネージャー。ある日、アナリストや競合他社から、Linuxがデスクトップ市場に徐々に触手を伸ばしつつあるという話を聞かされる。しかし、デスクトップでのLinux普及にはまだ数年はかかりそうだ。自社の業績の見通しは学生時代に想像していたよりも良い。同時に、社内での昇進のチャンスもほとんどなく、魅力的な転職先があるわけでもない。

 そんな中で、きついプロジェクトに取り組む気力など起こるだろうか。答えはたぶんノーだろう。私なら、自宅でシリアルでもほおばりながら、「チキチキマシン猛レース」でも見ていたいところだ。

 恵まれた環境にいる人間に徐々に忍び込む感覚の麻痺は、Edward Gibbonが巨大組織の腐敗について描いた名著「ローマ帝国衰亡史」の主要テーマの1つである。(Googleで働くTodd Nemetというエンジニアは、あなたがどんな皇帝になるかを自分でテストできるページをつくっている)

 Gibbonは、この全6巻の大著で、ローマの政治および軍事のリーダーたちが、統治に全力を注ぐ良き支配者から、個人的享楽にふける悪しき支配者へと堕落する様子を描いている。ローマは、継続的な領土拡大を求めるあまり、対照的な気候とさまざま種族が混在する広大な土地を管理しきれなくなってしまう。初代皇帝Augustusは領土拡大に伴うこうした問題点を明らかに見抜いていたが、そうした彼の優れた洞察力も無視されてしまった。

 「ローマは最初の700年に次々と勝利を収めた。だが、Augustusは全世界を制服するという野望を断念し、民会に穏健主義の精神を導入することを運命づけられていた。もともと穏やかな気性の持ち主であったAugustusは、難局を打開するために平和路線に傾いていたため、当時の意気揚々として見えたローマにおいて、実は勢力拡大の希望よりも戦争への恐怖のほうがはるかに大きかったことを容易に見抜いていた。度重なる遠征で戦争の遂行が日増しに難しくなり、何のための戦いなのかも疑わしくなり、占領地は混乱し、そこから得るものも少なくなっていた」(Gibbon)

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