ゲーム開発者らは、増加するブロードバンドアクセスの活用においても外部企業の助けを当てにしている。通信大手Alcatelの情報/通信/娯楽部門のマーケティングディレクターDerek Kuhnによると、同社はインターネット接続状況を査定/評価するための調査を行なっているゲーム開発者やインターネットサービスプロバイダ(ISP)と、定期的に情報交換しているという。
Kuhnは、「10カ月前は大半のオンラインゲームはまだダイアルアップでの接続速度に合わせて設計されていたが、今や多くの開発者がその壁を突破している」と述べ、さらに「われわれは実際にいくつかのゲーム開発企業を訪れ、『未来について語ろうではないか。仮に25Mbpsの双方向リンクがあったとしたら、ゲームの設計方法はどのように変わるだろうか』と尋ねてみた。各社とも大変素晴らしい発想を持っている」と語った。
オンラインゲームビジネスは大きな賭けアウトソーシングを利用するもう1つの利点として、開発コストを削減できる可能性が大きく広がる点が挙げられる。有名オンラインゲーム「The Sims Online」が数百万ドルもの開発費の回収に失敗するなど、注目を集めた破綻が相次いだことから、いま開発コストの削減は大きな関心の的になっている。
「ゲームの発行元から資金に関して多大なプレッシャーがかかっている」とアナリストのColeは指摘する。「開発費が膨らみ始め、数百万ドル規模になれば、資金が何に費やされたのかを厳密に調査することが必要不可欠となる」(Cole)
コストは小規模ゲームメーカーにとって特に重要と、SunのMelissinosは語る。同氏によると、典型的なオンラインゲームネットワークでは、プレイヤーを数人追加するのに多額のハードウェア経費がかかるという。この点、Sunの中央データベース方式を採用すれば、迅速かつ低コストで参加可能人数を増やすことができ、また同じデータベースで複数のゲームを運営できるため、ホスティング経費の大幅な削減が可能となる。
Melissinosは「1万人のプレイヤーを集められるゲームには実現可能なビジネスモデルが存在するが、あまりにコストがかかりすぎるため、小規模な企業は生き残れない」と述べ、さらに「複数のゲームを1台のサーバ上で運営できれば、インフラコストを抑えられるので、ニッチなコンテンツを市場で存続させることができる」と語った。
しかし、調査会社Zelos Groupのアナリスト、Billy Pidgeonは、IT企業は早期にオンラインゲームビジネスの恩恵を受けられると期待すべきではない、と警告する。ゲーム開発メーカーは依然として、数多くのユーザーが加入申込みをしてくれるようなオンラインゲームのコンセプトを模索している最中だ。画期的なゲームが誕生するまでには、ネットワーキングインフラも進歩していることだろう。
「(IT企業は)あまり多くの利益は期待できない」とPidgeonは指摘する。「インフラ関係の部分は、オンラインゲームのプロセスの中で実はそれほど高価でもないし、また難しい部分でもないので、アウトソーシング企業もあまり法外な料金請求はできない」(Pidgeon)
しかし、従来の市場はオープンソースソフトやコモディティ化したハードウェアの圧力に押され、利益/成長率ともに頭打ち状態にあるため、IT企業にとってゲーム業界は今後もさらに魅力を増すターゲットであり続けると見られている。
Melissinosによると、ゲームビジネスは、金融サービスなど従来からある市場向けにSunが開発した技術を応用できる、魅力ある新しい分野だという。Melissinosは「われわれは(従来の市場とゲーム市場との間に)多くの重複部分があることに気がついた」と述べ、さらに「金融業界で使われている取引システム関連の技術を見ると、1つひとつの技術がオンラインゲーム環境で必要とされる技術と相関関係にあることが分かる」と語った。
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