「スマートダスト」の普及で世界はどう変わるか - (page 3)

Alorie Gilbert, Richard Shim(CNET News.com)2004年06月07日 10時00分

 NovaはGraviton倒産の1年半前に、経営陣の交代によって同社を離れている。Novaは、Gravitonのビジネスモデルは間違っていたとし、現在市場に残っている企業も、ビジネスモデル上の問題を抱えていると警告している。Gravitonのケースでは、同社は多くのことを手がけようとしすぎたと同氏は指摘する。Gravitonはセンサーデバイスやネットワーク設備だけでなく、導入サービスやデータ処理・レポートサービスなども提供しようとしていたのだ。

 「トータルソリューションを販売しようとしたのが間違いだった。やりたいことがたくさんありすぎたのだ」(Nova)

 DustやEmberなど現在も市場に残っている企業は、センサーやそれを接続するネットワーク機器など、サービスを実現するための設備に的を絞っている。実際、Emberが製造しているのはネットワークコンポーネントのみで、センサーは全く生産していない。

コスト面やバッテリーなどに課題

 ワイヤレスセンサーネットワークが一般に広く普及するためには、moteのコストやサイズ、エネルギー効率などの問題も存在する。moteは1個約50〜80ドルもするため、出資者らが思い描いているようなアプリケーションの多くで利用すると、現段階ではまだコストが高くなりすぎてしまう。しかし今後5年くらいの間には、moteの価格は1個1ドル程度にまで値下がりすると研究者らは期待している。

 また、センサーの多くはバッテリーで稼動するため、ユーザーが頻繁にバッテリーを交換しなければならない場合、メンテナンスが面倒だ。Dust Networksではセンサーにバッテリー電源を採用しているが、デバイスのバッテリーが5〜10年間持つような設計を考案した。ゆくゆくは、デバイスの電源に太陽エネルギーや運動エネルギーを利用したいと開発者らは考えている。

 「もちろん、もっと改善できるし、時間とともに改善されていくだろう」(Connant)

 このほかにも、運用や通信上の標準を策定したり、センサーから送られてくる膨大なデータをフィルタリング・解析するツールを開発する必要もあるだろう。

 Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)では、センサーネットワークのためのワイヤレス通信プロトコルを定めるワーキンググループを結成し、802.15.4規格の策定に取り組んでいる。

 一方、カリフォルニア大学バークレー校で開発されたオープンソースプログラム「TinyOS」は、こうしたデバイス用のOSとして人気を集めている。

 アナリストらは、障害は時間が経つにつれて克服されていくはずだと自信満々だ。また彼らだけでなく、軍部や、HoneywellやGeneral Electricなどの産業機器メーカーらも、すでに何百もの実験プロジェクトを始動させている、とHarbor Research社長のGlen Allmendingerは述べている。

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