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ヤコブ・ニールセンのコンピュータ未来予想

2004/06/02 10:00
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 私がコンピュータを使い始めたのは今から30年前の1974年、まだ高校生のときだった。最初に使用したコンピュータは、一部屋を占有してしまうほど大きなもので、RAM はわずか5kバイトしか搭載していなかった。

 主なデータ入力方法は紙テープ。オペレータ用のコンソールは電気式タイプライタ。ディスプレイもなければ、カーソルもない。CPUの処理速度は約0.1MHz、という代物だ。

 こうした原始的な仕様にもかかわらず、私にとって初めてのこのコンピュータは、数年後、大学で出会ったモンスターのようなメインフレームなどより使っていてすごく楽しかった。メインフレームは、使っているというよりも命令に従っているという感じだった。初期のシンプルなコンピュータでできることは限られていたが、それでも私はテキストベースのゲームをいくつか設計した。それは、立派なシングルユーザーコンピュータであった。言わば、一部屋サイズのPCみたいなものだ。こうしたコンピュータを使っているときは、コンピュータを完全に制御し、コンピュータのやっていることを何もかも把握していた。なにしろ、紙テープがブーンという音を鳴らして回転するところまで見えたのだから。

 巨大な新しいメインフレームは、CRT画面を備えてはいたが、わけのわからないコマンドがたくさん用意されており、使い勝手は最悪だった。何より、実行されていることがユーザーから見えなかったため、まったく親しみが持てなかった。コマンドを発行すると、ほどなく、望みの結果を返してはくれるものの、コンピュータの中身を知り尽くして使いこなしているという感じはなかった。人知を超えた能力を持つ賢者たるコンピュータ様に処理をお願いする、という感じだった。

 PC革命の後にコンピュータを使い始めた人たちは、こうしたメインフレーム時代の悲惨なユーザー体験がどのようなものかをまったく知らない。今日のPCはどんなに設計の悪いものでも、メインフレームに比べればはるかに解放的なインターフェースを備えている。

 私の場合、小さいが動作を把握できたコンピュータから、威圧的なくらい大きく動作もまったく見えないコンピュータに移行した経験が、使い勝手を強く意識するきっかけになった。私はコンピュータを気分良く使うというのがどういうことであるかを知っていたし、あのコンピュータの動作を知り尽くしているという感覚を取り戻し、逆転してしまったコンピュータと人間の主従関係を元に戻したかった。

 一般に、こうしたメインフレーム時代のマイナス面を思い出すことは有意義なことだ。ネットワークの力が増大していきている今、ユーザーとネットワークの主従関係が逆転してユーザーがネットワークに支配されてしまわないようにあらゆる手段を講じる必要がある。そのためには、進歩を続けるバックエンドとバランスをとるために強力なフロントエンドを維持していくことが不可欠となる。

2034年のコンピュータ

 もし私が今の調子できちんと運動を続ければ、私自身30年後のコンピュータを経験する可能性は充分にあるだろう。ムーアの法則によると、コンピュータの処理能力は18カ月毎に2倍になるという。つまり、2034年までには、今の100万倍以上の能力を持つコンピュータが登場するわけだ。また、ニールセンのインターネット帯域幅の法則によれば、家庭へのインターネット接続の帯域幅が毎年50%増えるから、2034年までには、インターネット接続速度は現在の20万倍になると予想される。つまり、2034年のコンピュータは、動作周波数3PHzのCPU、1ペタバイト(テラバイトの1000倍)のメモリ、5億Gバイトのハードディスクを搭載し、2500億bpsもの速度でインターネットに接続できるということになる。

 具体的な仕様はいろいろと違ってくるかもしれない。現在のムーアの法則に則って1つのCPUの動作周波数が向上していくのではなく、マルチプロセッサ、スマートダスト、その他の先進のコンピュータアーキテクチャによって、上記と同等の処理能力が実現される可能性もある。しかし、ユーザーはそうした実装の詳細を気にする必要などまったくない。

 2034年には、遂に2万x1万ピクセルの解像度を持つディスプレイが登場するだろう(現在私が所有しているモニタの解像度はわずか2048x1536ピクセルである)。これは大歓迎だが、ディスプレイの解像度の向上は200倍程度と、比較的小さくなるだろう。というのは、歴史を振り返ってみれば分かるように、ディスプレイ技術というのは、バッテリー技術を除けば、コンピュータ技術の中でも最も進歩の遅い分野だからだ。

 しかし、数ペタバイトのメモリと数テラビットの帯域幅を個人で使い切れるものだろうか。今は想像できないかもしれないが、有り余るほどのハードウェアの使途に困るということにはならないだろう。たとえば、ストレージの半分を情報のインデックスに使用すれば、瞬時に情報を検索できるようになるだろう。Outlook ののろまな検索ともおさらばできる。

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