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「裏口」からネット通信の覗き見を狙うFBI

2004/04/28 10:00
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 米連邦捜査局(FBI)は、政府を説得して、ブロードバンドやIP電話、インスタントメッセージ(IM)のプロバイダに、捜査当局による傍受を容易にするための「裏口」を設置することを義務付けようとしている。

 これが実現すれば、警察の監視権限は大幅に拡大されるだろう。FBIは、この件について、議会の承認を要求する代わりに、(米司法省や麻薬取締局と協力して)米連邦通信委員会(FCC)に働きかけ、内々に事を進めている。

 この3つの機関の主張するところによると、FCCは、1994 年に制定されたCommunications Assistance for Law Enforcement Act(CALEA:捜査当局による通信傍受の援助法)によって、捜査当局が通信傍受を行いやすいようにインターネットを再構築することを許可されているという。提案書には、次のように書かれている。「(通信傍受の)任務の重要性および緊急性はどんなに強調してもしすぎることはない。今日、電子監視は極めて重要であるにもかかわらず、国家、州、地方の捜査当局の監視能力は危機的状況にある」

 しかし、彼らの主張とは裏腹に、CALEAにはそうした要求を認める条項は存在しない。

 議会がCALEAについて議論していたとき、当時のFBI長官Louis Freehは、捜査当局の監視能力の拡大に不安を隠せない議員に対して、この法律の適用範囲は電話でのやり取りだけであると確約している。(CALEAは、当時としてはまだ新しかった、携帯電話や3者間電話などのサービスを利用した会話を警察が傍受できるようにすることを目的としていた。)

 「つまり、適用対象は電話だけ、電話での会話だけに限定されるということですか?」という上院議員Larry Presslerからの質問に対してFreehは次のよう答えている。

 「私の理解ではそうです」

 1994 年 10 月に作成された下院の委員会報告書では、CALEA について「電子メールサービスなどの情報サービスや、CompuServe、Prodigy、America Online、Mead Data (Central) などのオンラインサービス、およびインターネットサービスプロバイダには適用されない」ことが強調されている。

 傍受の必要性を心底認めていたFreehは、CALEAを最初に作成するとき、インターネットサービスも適用対象に含めたのだが、議会はそれを受け入れなかった。「FBI がこれまでに提出した法案と違い、この法案の適用対象は地域および長距離電話会社、携帯電話サービス業者やPCS業者、およびその他のキャリアのみに限定される」と、1994 年 9 月に開かれた公聴会で電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation:EFF)のJerry Bermanは述べている。

 しかし、音声対応のIMやVoIPサービスなどの利用者が増えてきた現在、FBI連合は、自分たちにとって都合の悪いこうした詳細な過去の経緯を、政府が忘れてくれていることを願っている。「こうした(傍受の)問題は、仮の話ではなく現実に差し迫った問題である。こうした問題が国民を守るための、国家、州、地方の捜査当局の監視能力に与える影響は日増しに大きくなっている」と、FCCへの提案書の中で警察側は述べている。

 同時多発テロ事件以来、FBI が難しい仕事を抱えていることは事実だが、この提案は、賢明であるかどうかはともかく、そもそも必要なのだろうか。

 警察は、既にインターネット通信の傍受を行うことを長い間許可されてきている。

 1996年、司法長官Janet Renoは、捜査当局は何の問題もなくインターネット通信を傍受できていると公言している。それ以前にも例はある。1992 年には、シークレットサービスが、Masters of Deceptionのメンバーがやり取りしていたメッセージを「データ傍受」したことが、このハッキング集団の逮捕につながった。インターネット通信の効率的な傍受というのはまさに、FBIのCarnivoreシステム(別名DCS1000)が目指していたところである。

 では、FBIは今更何を躍起になっているのだろうか。FBI側は明言しないが、どうやら傍受を容易にすることが彼らの目的のようだ。傍受したデータストリームを解析するのは非常に難しい。それには、VoIPやIMによる通信の確立に使用されるSession Initiation Protocol(SIP)を解析できるようにCarnivoreシステムを改良しなければならない。そんなことをするよりも、サービスプロバイダ側に裏口を設置してもらったほうが、警察にとってははるかに楽なのである。

 それを望んでいるのはFBIだけではない。National Sheriffs' Association、Police Executive Research Forum、イリノイ州警察、テネシー州捜査局も、FBIの要求を認めるようFCCに要請している。

 彼らの主張もFBIと同じである:どの機関もFCCへの請願書に次のような一文を含めている。「州、および地方の捜査当局には、財政面・人的リソース面のどちらの観点からみても、通信サービスが新しく出る度に監視用システムを開発する余裕がない」

 たぶん、そのとおりなのだろう。新しい技術は警察にとっては頭痛の種であり、傍受能力の強化を求めるのもやむを得ないのかもしれない。しかし、問題がある。最終的な決断は誰が下すことになるのだろうか。選挙で選ばれた議員たちか、それとも選挙で選ばれたわけではないが善意あるFCCの官僚たちか。

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