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オープンソースの採用で共食い状態?--ソフトウェア企業のジレンマを探る

2004/03/01 10:00
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 年商10億ドルのソフトウェア企業Novellの最高技術責任者(CTO)Alan Nugentは、3カ月に1度、少人数のスタッフを集めて会議を開き、どのソフトウェアを無償で提供するか話し合っている。

 総じていえば、Novellは今でも昔ながらのやり方――つまり、自社で開発・管理するアプリケーションのライセンスを有償で提供するという方法でソフトウェアを販売している。その一方で同社は昨年、誰もが自由にプログラムのソースコードをダウンロードし、変更を加えることができるというオープンソースソフトウェアのアプローチも部分的に取り入れた。

 この混合戦略の結果、Novellは自社の有償ソフトウェアがコモディティ化し、オープンソースソフトウェアでも代用できるようになったかどうかを自問せざるをえなくなった。主力商品Netwareラインの一部も検討対象だ。そして、「イエス」という結論が出ることが増えている。

 「(会議では)競合するオープンソースソフトウェアがあるか、オープンソースのどの要素を取り入れられるか、などに注目する。これは非常に前向きなことだ」とNugentはいう。

 Novellのジレンマは、他の多くの企業も感じていることだ。趣味プログラマのお遊びと考えられていたオープンソースソフトウェアは、伝統的なソフトウェアの市場を着々と侵略し、大手IT企業に戦略の転換を迫るまでになった。今では多くのソフトウェアメーカーが、何らかの形でこのトレンドを取り入れない限り、他社と同じラインに立つことすら難しくなると考えている。

 IBMやOracleをはじめとする一部の大企業は、Microsoftの支配力を少しでも弱めようと、LinuxなどのオープンソースOSをWindowsに代わるOSとして支援してきた。しかし、そうした行動がオープンソースの拡大を助長し、自社の領域や製品までも危険にさらすことになったのかもしれない。

 「この背景には複雑な力学が働いている。(オープンソースソフトウェアに対する)有償のサポートは必要だが、有償ソフトウェアを提供している企業なら、オープンソースには抵抗したいという気持ちがある」とForrester ResearchのアナリストTed Schadlerは指摘する。

 現在、オープンソースプロジェクトの数は何万にものぼる。そこから強力な新製品が生まれるのではないかという恐れが、有償ソフトウェアの価格に影響を及ぼしているとSchadlerはいう。Microsoftはすでにデスクトップソフトウェアの分野でこの変化を感じているが、次はサーバミドルウェアやデータベースソフトウェアのメーカーの番だろう。

 オープンソースはソフトウェア経済の「見えざる手」となり、価格を低下させ、コモディティ化した分野を狙い打ちにする。Microsoftは抵抗を続けているが、他の企業はたとえ長期的な収益性にあいまいな部分が多くても、オープンソースを受け入れるほかない。

 Novell、IBM、Sun Microsystems、Oracle、Hewlett-Packardなどのソフトウェア大手はオープンソースとの関わりを強めようとしている。一方、自由に入手できるソフトウェアに特化した小企業は、こうした大企業の動きを利用してビジネスを展開している。その例がRed Hat、JBoss、MySQL、Zend Technologies、Covalent Technologiesだ。

 オープンソースの普及を牽引したのはコスト意識の高い企業だった。その多くは相変わらず、過去最悪のIT不況から抜け出そうと四苦八苦している。

 たとえば、オフィス用品やコンピュータ用品を扱うデンバーの企業Corporate Expressは、4年ほど前にApacheウェブサーバを導入して以来、オープンソースソフトウェアを積極的に活用するようになった。プロプライエタリソフトの代わりに、より高品質なオープンソース製品を採用することで、同社は3年で500万ドル〜600万ドルものライセンス料を支払わずに済んでいる。現在、同社はJavaサーバソフト、データベース、検索エンジンといった分野でもオープンソースを取り入れるようになった。

 Corporate Expressの技術アーキテクチャ担当バイスプレジデントAndy Millerは、データベースやアプリケーションサーバなどの基盤ソフトを大企業から買うというこれまでのやり方には納得がいかないという。「なぜ、こうしたソフトに金を払わなければならないのか。こうしたソフトを使うのは、ビジネスアプリケーションを動かすためにすぎない。実際に価値を生み出すのはビジネスアプリケーションだ」(Miller)

 ハードウェアは安価で手に入るもの、とユーザーに思われるようになったのと同じ考えが、オープンソースソフトウェアの世界でも急速に整いつつあるようだ。たとえば、旅行業界大手のSabre HoldingsはIBMのメインフレームとHewlett-PackardのNonStopサーバで動かしてきた主流の旅行アプリケーションの機能を、安価な汎用ハードウェアと複数のオープンソースソフトウェアを組み合わせて実現しようとしている。顧客情報は今後もハイエンドのNonStopサーバに格納するが、単純な取引は45台のLinuxサーバに搭載したオープンソースのMySQLデータベースで処理するつもりだという。

 オープンソースソフトウェアとより高機能なプロプライエタリ製品は共存するようになるとSabreは見ている。しかし、あくまでも第一希望はオープンソースだ。「ソフトウェアのコストは最小限に抑えなければならない」と同社のシステム設計・エンジニアリング担当バイスプレジデントScott Healyはいう。

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