通信サービスをアプリケーションから簡単に使う--Parlay Groupのマーケティング担当者が来日

 電話回線など通信事業者が提供する通信サービスを業務アプリケーションから利用するためのAPI(Application Programming Interface)がある。富士通やNTT、米IBMなど約70社が参加する業界団体のParlay Groupが開発する「Parlay/OSA API」である。

 Parlay Groupは5月10日から、大阪でメンバー集会を開催する。同集会の準備のため、Parlay Groupのマーケティング上級委員であるカナダのEricsson Canada サービスレイヤ アンド エンタープライズアプリケーションズ サービスレイヤビジネスアドボケイトのマーク・ルクレール(Marc LeClerc)氏が来日、3月24日に日本エリクソンを訪れた。

Parlay Groupのマーケティング上級委員で、カナダのEricsson Canada サービスレイヤ アンド エンタープライズアプリケーションズ サービスレイヤビジネスアドボケイトのマーク・ルクレール(Marc LeClerc)氏

 CNET Japanでは、マーク・マクレール氏にParlay Groupの意義とParlayの中身について聞いた。同氏によるParlayの説明は以下の通りである。

APIで通信サービスを隠ぺい

 Parlayは、通信サービスをアプリケーションから利用しやすくするための標準の仕組みである。この仕組みを、プログラミング言語から利用するライブラリであるAPIとして実装する。C/C++とJava用のライブラリを開発し、提供している。

 通信サービスを利用するためのAPIが必要な背景には、通信業界が大きな時代の変化にさらされているという状況がある。通信データを中継・転送する仕組みがIP(Internet Protocol)ベースになったことで、通信回線を取り巻く業者、つまり通信事業者、通信サービスを使ったビジネスを提供する業者、システム開発会社の関係が変わった。垂直的なモデルが水平的なモデルに変化し、多数の外部組織とビジネスを展開しなければならなくなったのだ。

 こうした市場の需要を受けてParlay Groupを組織した。Parlay/OSA APIによって、通信サービスを利用した新しいビジネスを始めやすくなる。アプリケーションの開発者から見れば、通信サービスを含んだ市場が1つのグローバルな市場になる。実際、70社を超える通信事業者のサービスを、通信サービスごとの差異を意識することなくAPI経由で利用できる。こうしたアプリケーションはすでに250種類に達している。

 Parlay/OSA APIを使ったシステムの構造はこうだ。Parlayでは、通信サービスと業務アプリケーションの橋渡しとなるゲートウェイを用意する。ゲートウェイが業務アプリケーションから見た個々の通信サービスごとの差異を隠ぺいする。アプリケーションとゲートウェイ間の通信には、分散アプリケーション用の通信手順であるCORBA/IIOPを使う。

 Parlay/OSA APIのゲートウェイはサードパーティが出荷するソフトウェアまたはアプライアンスであり、ゲートウェイごとにサポートする通信サービスが異なる。アプリケーション開発会社は、使いたい通信サービスに対応したゲートウェイを購入して利用するだけでよい。Parlayゲートウェイの中身はブラックボックスでも構わない。アプリケーション開発者は、通信サービスの機能をアプリケーションから利用するAPIだけを知っていればよいからだ。2004年11月時点で市場に出ている製品の数で言うと、Parlayゲートウェイが27製品、アプリケーションが101製品である。その他開発環境などを含めた全製品で238個に達する。

 Parlay/OSA APIよりもさらに通信サービスを利用しやすくする仕組みも用意している。「Parlay-X Web Service」である。Webサービスのメッセージを経由してアプリケーションから通信サービスを利用できるようにする機構だ。WSDL/SOAP経由で使えるため、APIライブラリを使う場合と比べ、アプリケーションを開発しやすくなり、通信サービスの利用が増えるだろう。細かな制御をしたいのならParlay/OSA APIを使ってアプリケーションを作り込むべきだが、簡単なアプリケーションであればParlay-X経由で使うようにすればシステム開発負荷が減る。

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