MVNO市場の大幅な門戸開放へ--総務省のMVNO事業化ガイドラインが改正

 総務省はこのほど、「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン」(MVNO事業化ガイドライン)を改正した。

 MVNOは、「Mobile Virtual Network Operator(仮想移動通信事業者)」の略で、携帯電話やPHSなどの移動体通信事業者から、無線通信インフラを借り、独自の通信サービスを再販する事業者のこと。この仕組みにより、通信事業者としての免許を持たない事業者の無線通信サービスへの参入が可能になるビジネスモデルのひとつだ。

 総務省はこれまで、MVNOに関する政策対応への意見の募集と討議を2005年12月から継続してきた。2006年9月に「新競争促進プログラム2010」内で「MVNO事業化ガイドライン」の改正が明記されたのを受け、同年12月に改正案を公開。以降、パブリックコメントを募り、最終結果として、ガイドラインの今回の改正に至った。

 今回の改正は、携帯電話市場の門戸を開放し、MVNOへの新規参入の促進と、それによる携帯電話市場の活性化が狙い。MVNO参入を希望する事業者は、既存の携帯電話事業者(MNO)に対して無線インフラの貸し出しを申し込んだ場合に、周波数の不足を理由に接続を断られるなど、これまで新規参入が難しかった。

 これに対し、改正案ではMNOがMVNOから事業者間接続を求められた場合に接続を拒否できる具体的条件を例示しながらも、事実上、原則として接続の受け入れを義務化し、MNOからの反発を招いた。しかしながら、今回の改正では、「接続拒否事例はあくまでも例示で、実際の接続交渉は内容に応じて個別に判断することが必要」という文言を盛り込むことで、MNOへの方針を軟化する配慮を示した。

 また、新ガイドラインでは、MVNOとMNO、MVNOとの契約に基づきMVNOの事業の構築を支援する事業者(MVNE)を定義。さらに、MNOがMVNOの関係について、MNOからMVNOに回線を卸提供する「卸電気通信役務の提供」という従来の規定に加え、通信事業者同士が相互接続する「事業者間接続」とする項目を追加した。

 これにより、MNOはMVNO向けの接続料や接続条件を接続約款に明記することが義務化され、MVNOはこれを基準にMNOと対等な交渉が可能になる。さらに、MNOがMVNOに対して故意に交渉を遅延させた場合には、総務省による業務改善命令の対象となることが明文化されるなど、MNOにとっては全体的に厳しい内容に改編されているのが特徴だ。

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