番号ポータビリティ、料金競争が激化すれば「意味がない」--NRIが発表 - (page 2)

 一方、これらの障壁は各事業者が割り引きサービスを引き継ぐ仕組みを導入したり、手数料を負担するなどコストをかけることで取り除くことは可能。いわば金でユーザーを集めることはできる。しかし北氏は「金で獲得したユーザーは金で奪回されるのがオチ」と話し、3社が高額な販売奨励金導入で激しく争った末、結局MNP開始前とほとんどシェアが変わらなかったという韓国の例を取り上げ「事業者の利益率が下がるだけの韓国の二の舞になってはならない」と強調した。各事業者に魅力あるサービスでの利用者争奪戦を訴え、ドコモにはFOMAのエリア強化とおサイフケータイ、高速サービスのHSDPAの提供、auにはドコモよりも先にドコモができないことを実行する姿勢、ボーダフォンには基本サービスでドコモ、auに追い付き、安さとグローバル以外の訴求を提案した。

 また、2006秋から2007年春にかけてアイピーモバイル、イー・モバイル、BBモバイルの3社が新たに参入を予定している。これに関して北氏は「新規参入のトーンは落ちてきている」と語った。エリアの整備が急務で、ドコモやauに対抗するのではなく、2台目需要として都市部でのデータ専用サービス、iPodやPSPなどのパーソナル情報機器へのチップ埋め込み型など新しい需要を創造する必要があるとして「3社のうち1社も立ち上がれないことがないようにしなければならない」と、新規参入事業者が1社もブレイクしない可能性も示唆した。

NRIコンサルティング事業本部 情報・通信コンサルティング1部の主任コンサルタント、園生賢一氏

 既存事業者から回線を借り受けてサービスを提供するMVNOについては、英国のヴァージン・モバイルの成功事例はあるものの世界的に好調な例は少なく、日本でも2000年から2001年に一度ブームになったが、既存事業者とのWin-Win関係が築けず今ひとつの状況だという。しかし、ここにきてユーザーを獲得しやすい市場が飽和状態になり新規開拓が必要になっていることや、ボーダフォンがMVNOへの回線提供を発表していることからNRIコンサルティング事業本部 情報・通信コンサルティング1部の主任コンサルタント、園生賢一氏は「第2次MVNOブームとしての環境が整いつつある」という。

 園生氏はMVNO候補として、企業と顧客の接点となる新規事業、モバイルEC事業などを挙げ「単に料金が安いだけでは価値の破壊になるだけ。独自のビジネスモデルが必要」とし、ユーザーから本業で別に収入を得たり、広告、販売手数料収入で利益をあげる仕組み作りを提案した。データ通信サービスの提供も不可欠として、既存の事業者にできなかった放送との融合や、固定通信と移動体通信を合わせたFMCなどが重要になると指摘。さらに既存事業者にはニッチな市場だった中小企業向けのソリューションにも活路があるといい「データ通信に特化するか、零細・小規模企業を対象にすることが成功モデルとして有望」と分析した。

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