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「100年でも戦う」:携帯電話への参入を目指すソフトバンクが行政訴訟

2004/10/13 22:23
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 携帯電話事業への参入をめざすソフトバンクBBは、10月13日午後に都内で会見を行い、800MHz帯周波数割り当て方針案の実施差し止めと、新規割り当て方針案の策定と新規免許申請の受付を総務省に対して求める訴訟を同日付けで東京地方裁判所に起こしたことを明らかにした。また、総務省とNTTドコモ、KDDIに対して、800MHz帯割り当てに関する交渉記録保全のため文書破棄等禁止仮処分をあわせて申し立てた。

マルチバンド端末の基板を手にした孫正義氏

 総務省は、2004年8月6日に「800MHz帯におけるIMT-2000周波数の割当方針案」をまとめ、同日から1カ月間のパブリックコメント過程を設けた。この方針案では、携帯電話で利用できる電波を増やすため新たに815〜850/860〜895MHzの周波数を第3世代携帯電話(IMT-2000)に割り当てるという前提で、NTTドコモとKDDI/沖縄セルラーにそれぞれ15MHzずつ割り当てることになっている。

 パブリックコメント過程では、ソフトバンクBBも携帯電話事業に参入する意思を明示したパブリックコメントを発表し、「電波の公正かつ能率的な利用を確保する」という電波法の目的に基づいて透明性の確保された意思決定プロセスで議論することなどを求めた。800MHz帯の移行方針については現在検討が進められている。

 その後、総務省は9月30日に「携帯電話用周波数の確保に向けた取組」と題した文書を発表し、800MHz帯においては「携帯電話事業者に既に免許している周波数に加えて、現在、新たに携帯電話用に使用できる周波数はない」としたうえで、当面の新規参入の周波数として1.7GHz帯と2010〜2015MHzを挙げている。新規参入については、この前提にたって「関係者等によるオープンな意見交換を行う場を設置する」ことが記されている。総務省としては、新規参入事業者へは1.7GHz帯をまず念頭においた事業を計画するよう示唆している。

 こうした経緯と8月に発表された800MHz帯の割り当て方針について、ソフトバンク・グループ代表でソフトバンクBB代表取締役社長兼CEOの孫正義氏は「総務省の周波数帯割り当ては、数名の担当者の密室の議論で決定されており、透明性と公平性を欠いている。われわれは何度となく参入したいと言っているが、届け出が受理されない。そもそも周波数帯割り当てを受ける届け出期間よりも前に割り当て方針案が決まっており、周波数帯の割り当てを受けなければ市場に参入できないので、免許申請を届け出る手段がない。プロセスが完全に閉じられている」と訴える。現在の手続きでは新規参入希望者の有無を確認する過程が設けられておらず、既存の事業者との関係においてのみ行政が進められているというのだ。

設備投資コストに大きな差:「総務省は新規参入を阻む決定をしている」

 携帯電話事業に参入する際に使用する周波数帯については、800MHz帯を使用すれば1.7GHz帯を使用した場合よりも設備投資コストが数千億円程度抑えられるという試算を紹介して、孫氏は「最適な時期に、考えられる最も適した技術で参入したい」とした。周波数帯の割り当てを受ければ2年前後で全国をカバーしたサービスを開始できるとするソフトバンクにとって、2006年(予定)に番号ポータビリティ制度が導入される時点で事業者として市場に参入できていることは大きな意味を持つ。

写真1(以下すべてソフトバンクBBの発表資料)(クリックすると拡大します)
 
 

 また、既存の事業者に割り当て済みの周波数帯が未使用で放置されていることにふれて「上位2社は未使用の周波数帯を握りしめている。それなのに新たに割り当てを受けようとしているのが問題だ」として、新規参入を妨げない、公平性を確保した意思決定を行う必要性を訴えた(写真1、2)。

 周波数帯の有効利用と消費者への利便性の向上という観点からは、マルチバンドが解となると孫氏は主張する。1.7GHz帯で参入すれば電波特性をカバーするための設備投資などの障壁が高いことから、孫氏は「不利な周波数帯を新規事業者に割り当てようとしている。米国的に言うと、競争促進の観点からは逆のことを総務省はしようとしている」と訴えた。各周波数帯を事業者に割り当てて利用することは技術的に可能だとして、周波数帯の割り当て案を示した(写真3)。現状の総務省案では、複数の帯域に対応できる携帯電話端末を実現する技術が存在するにもかかわらず、既存の事業者のみを対象として800MHzの枠内で恣意的な再編を行い、新規事業者の参入を妨げていると同氏は主張する。また、周波数には本来存在しないはずの既得権を擁護する意思決定を行っているとして、必要としない周波数を将来の使用貸借のために特権的に占有するのを許容することには何ら合理性がないと訴状で主張している。

 今回の訴訟に向けて形成された弁護団のメンバーである牧野二郎氏は、「周波数帯は無料で国民の資源だ。国民が納得できる配分方法を決めなければならない」として、この行政訴訟後の総務省の手続きに公平性が確保されるかどうかに注意が必要だと述べた。

 また、牧野氏は訴訟の法的争点について、電波法第26条に規定された公平かつ合理的な資源再配分が行われていないこと、ソフトバンクBBの新規参入が妨げられることによる経済活動の自由の侵害、平等原則に対する違反、意思決定が恣意的に行われた根拠が見いだされれば公務員倫理規定法違反、共同不法行為が立証されれば民法違反などが該当する可能性があると説明した。

 通信の監督官庁を相手取り行政訴訟を起こしたことについて、孫氏は「この世に神がいるのなら100%勝つ。最高裁まで進んで正しいと思える結論が得られなければ、世界の世論に訴えても戦い続ける。100年でも続ける」として、技術的観点から議論して出される結論と総務省の意思決定の乖離をあくまで追及する意思を示した。

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