米国税庁と財務省がVoIP課税を検討

Declan McCullagh(CNET News.com)2004年07月07日 14時02分

  米西戦争の戦費を調達するために設定された「臨時」課税が、インターネット電話通話料の引き上げにつながる可能性がある。

 米国では現在、電話通話も連邦消費税の課税対象になっているが、VoIP通話も課税対象として解釈されるべきだとの見解を、国税庁(IRS)および財務省が示した。この動きは、急速に成長するVoIP業界の混乱を招くものと見られる。また州政府もこれを真似てVoIP技術への課税や規制をする可能性がある。

 2日(米国時間)に発表された報告書のなかで、IRSと財務省は、「電話または電話と同質の情報通信」で使用される「技術の変化を反映するために」、3%の連邦消費税の定義を見直す必要があるかどうか、検討中であると述べている。

 「IRSと財務省は、自分たちの網の下を飛び交うVoIPをはじめとする新技術に目をつけている」と法律事務所Shaw PittmanのGlenn Richardsは言う。Shaw Pittmanはワシントンにある法律事務所で、複数のVoIP企業の代表を務めている。「明らかに、彼らは自分たちの権限の及ぶ範囲を拡大して、できるだけ多くの「通話」に消費税をかけようとしている。彼らにとって、これは歳入に関わる問題だ。(現行の解釈では)国民が新技術を導入すると、歳入の減少につながってしまう」(Richards)

 IRSでは現在、電話サービスの税法上の定義に何が含まれるかについて法律改正を検討しているが、検討状況はまだ「非常に初期の段階」にある、とIRSの広報担当Tara Bradshawは語った。「われわれは単に情報を求めているだけ」とBradshawは言う。「現時点で新しい規則を作ろうとしているのではない。私たちは単に意見を求めているだけだ」(Bradshaw)

 今回のIRS報告には、予想外の項目が他に含まれている。現在、議論が進行しているVoIPの法律的扱いに関するものだ。この件では既に、州の規制当局と米連邦通信委員会(FCC)が対立しており、またFBIも従来の電話ネットワークのためにつくられた通信傍受に関する法律の適用範囲をインターネット通話にも拡大する提案をしている。

 米国では約60万人のユーザーが、VoIPを利用している。個人ユーザーよりも早い速度で企業ユーザーのVoIP利用が伸びており、かつては従来の電話ネットワークを利用していたビジネス通話10本のうちの1本は、インターネット経由の通話に完全に取って代わられてしまった。

 米議会は、国内に数千本の電話回線しかなかった1898年当時、1通話あたり1セント徴収する「贅沢」消費税の制度を導入した。この制度は1902年には廃止されたが、1914年には第一次世界大戦の資金調達のため課税額1通話あたり1セントで再度復活し、これが恒久化して、1990年には課税額が通話料の3%になった。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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