「この通話の提供は・・・」-- VoIPを使った新手の広告登場

 インターネット電話の料金の安さを利用して、カナダのビール会社Labatt Breweryは、オンタリオ州に住む何千人もの人々に、無料の長距離電話通話サービスを提供することができた。

 但し、このサービスには、一点仕掛けがあった。新たにこのサービスに加入した1000人の利用者は、電話を掛ける際に、一日に一回受話器から流れるLabattの10秒広告を聞かなければならない。「『この通話の提供はLabattでした』というような安っぽい広告ではない」と、同社の広報担当者はコメントしている。

 以前は、長距離電話を数百人から数千人に無料で提供するのは、企業や商品、ブランドの宣伝としては馬鹿げているとされてきた。それに使う広告費が、企業への見返りである売上げ増やマーケティング用データの価値を大幅に上回るからだ。しかし、昨年夏に立ち上げられたLabatt BlueLineでは、VoIPの技術を利用して劇的なコスト削減を実現した。通話はインターネット上を通り、電話会社独自のネットワークを利用しないからだ。

 ふつうの夏のキャンペーンとして2002年7月に始められたBlueLineだったが、このサービスはその後も継続され、最終的には10月31日まで続いた。オンタリオ州の住民は終了時までに、計4000万回の通話を行い、5億分に相当する長さの広告を聞いた。

 BlueLineの復活があるのかどうかに関して、Labattではコメントしておらず、ただ次のような当たり障りのない文句を並べているだけだ。「来年に向けて、大量のエキサイティングな広告キャンペーンを計画しています」

 BlueLineを可能にした技術を提供した企業によると、これはほんの手始めだという。ますます多くの小売業者やマーケティング会社が、顧客との接点となる新たな経路として、VoIP通話を取り入れている。

 カナダのVoIP電話会社Onlinetelによると、同社はほかの小売業者と、顧客と接点を持つためのVoIPの利用方法を検討中だという。同社は既に、無料のVoIP無料通話サービスを使って、自社の市内通話及び長距離通話プランを強化しており、またBlueLineの背景にある技術も提供した。

 ほかにも、インターネット電話を利用したマーケティング企画としては、VoIPリンクを使ったものがある。VoIPリンクとは、ウェブ上のハイパーリンクに似たもので、ユーザーにあるアイコンをクリックさせ、事前に登録したVoIP番号に電話を掛けさせるという仕組みだ。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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