NEC化合物デバイス、5.2GHz対応のシリコントランジスタを発表、無線LANや携帯電話機向け

ニューズフロント(CNET Japan特約)2003年07月02日 16時04分

 NEC化合物デバイスは7月2日、無線LANシステムなどの通信感度の向上や装置の小型化などを実現する、5.2GHzの周波数帯域に対応したトランジスタ、2モデルを製品化すると発表した。製品名は「NESG3031M14」と「NESG3031M05」。無線LANシステムや家庭用コードレス製品、携帯電話機などへの採用に向け、7月3日から販売活動を開始する。

 両トランジスタは、高周波特性が良好となるシリコンゲルマニウム(SiGe)ヘテロ型バイポーラトランジスタ(HBT)。シリコントランジスタのベース層に少量のゲルマニウムを加えることで性能を向上させるプロセス技術と、ヘテロ接合(異種物質接合)によって半導体中に高密度で高速移動が可能な電子の通り道を形成するプロセス技術を組み合わせている。

 現在、家庭用民生コードレス製品に多く使われる2.4GHz帯域で干渉問題が懸念されている。このため5GHz帯域のワイヤレス機器への関心が高まっていることから、同社では、今後、5GHz帯用のワイヤレス機器が有望と考えているという。ところが「従来の5GHz帯用のトランジスタでは、低雑音化のための設計が複雑になる、ガリウムヒ素(GaAs)を用いるため高価になるといった問題があった」(同社)。両製品は、シリコン半導体技術をベースとしているため、GaAsトランジスタの約半分の価格で提供可能という。

 NESG3031M14は、1.2mm×0.8mmの4ピンモールドトランジスタ、NESG3031M05は4ピン薄型/小型パッケージ。トランジスタ素子の厚さを微細にする結晶成長技術を微細加工技術と最適化したプロセス技術「UHS3」を採用し、高電力利得と静音性に重点を置いたという。「5.2GHzの周波数帯域に対応するものとしては、当社現行品種に比べて約0.35dB低い0.95dBという世界最高の雑音指数を実現した」(同社)

 両製品ともサンプル価格は35円。サンプルの出荷開始はNESG3031M05が8月上旬、NESG3031M14が9月上旬を予定する。量産開始は両製品とも10月から。NEC化合物デバイスでは、販売開始当初の月産合計を100万個と見込んでいる。2004年3月には月産合計1000万個にまで拡大する計画。

NEC化合物デバイス

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