ハイエンドPCから携帯端末までをカバーするインテルのプロセッサ戦略

 インテルは6月8日、報道関係者を対象に説明会を開催した。6月1日から台湾で開催された「Computex Taipei 2010」で同社が発表した内容を踏まえ、来日した米Intel副社長兼PCクライアント事業本部長のMooly Eden氏が解説を行った。

Mooly Eden氏 米Intel、副社長兼PCクライアント事業本部長のMooly Eden氏

 Eden氏は、「2009年のPC市場は、2008年の2億9000万台から、2億6000万台に下がるのではないかと予測されていたが、実際には予測に対して6000万台も上向いた。特にコンシューマーPCの需要は堅調で、経済の衝撃が無視され、人々はPCを購入し続けた。ノートPCはクリスマスに欲しいものとして最上位にランクされており、贅沢品から必需品に変わり、1人1台の環境になってきた」と昨今の状況を説明した。

 さらに、「10兆ページを超えるウェブサイトの存在や、ソーシャルネットワーキングの普及、YouTubeが一日20億ビューを集めていることに代表されるように、インターネットの利用変化によって、端末をより快適に使える環境が求められるようになってきた。インテルは今年1月、新たなCoreプロセッサーファミリーを発表したが、これが市場の要求に応えるものとなり、新たな需要を創出した。Turbo Boost Technologyなどを活用することで、従来のCore 2搭載製品と比較して、写真編集で2.1倍、ビデオ編集で3.2倍の性能を発揮する。よりスマートで、短時間に利用できるようになった」とした。

 Eden氏は、インテルが先ごろ発表したCULV(Consumer Ultra Low Voltage)向けの「Core i5-430UM」についても説明。「さらに薄いモバイルノートにNehalemマイクロアーキテクチャが搭載されることにより、より快適なインターネット環境を外出先でも実現できるようになる」とした。

 さらに、次世代のインテルCoreプロセッサーであるSandy Bridge(コードネーム)は、先進的な32nm High-K/メタルゲートプロセッサ技術を用いて生産されること、CPUとグラフィック、メディア機能をひとつのダイに統合したこと、大幅なグラフィック性能と長時間のバッテリ駆動を実現したことなどを説明。「特に、Turbo Boost Technologyは、Super Turboといってもいいほどに強化される」(Eden氏)などとした。

 加えて、ネットブック向けのインテルAtomプロセッサーにデュアルコアの製品を用意しており、今年中の市場展開を予定していることを説明。「これまで多くの人に、なぜネットブックにデュアルコアがないのかと言われてきたが、パワーマネジメントなどに問題があったのが原因。ビデオ再生機能が強化され、長時間のバッテリ駆動が可能になる」とした。

 

 タブレット型機器に向けた「Oak Trail」(コードネーム)についても説明し、「マルチタスキングを実現し、WindowsやChrome OS、Android、Moblin、MeeGoといったように、OSが自由に選択できるようになる。これが新たなビジネス機会を創出することになるだろう」と語った。

吉田和正氏 インテル、代表取締役社長の吉田和正氏

 「インテルは、トップからボトムまでの幅広い製品に対してIAプラットフォームを提供し、魅力のあるユーザー体験を提供していく」(Eden氏)

 また、会見の冒頭、挨拶に立ったインテルの代表取締役社長である吉田和正氏は、「コンピュート・コンティニュアム」という言葉を使いながら、「インテルのCoreプロセッサーファミリーの立ち上がりは早く、市場の約8割を占めている状況にある。また、日本はWiMAXが利用できる最先端市場であることも見逃せない。そうした中で、インターネットにつながる機器は、今後、PCだけでなく、小型端末、スマートフォンなどにも広がっていく。インテルはここにも製品を提供していく。全世界で18億人のインターネット利用者がいるが、アジアでインターネットを利用できる環境にあるのは26.6%に過ぎない。様々なシーンで、様々な機器がつながる可能性があり、まだまだ市場は成長する余地がある」と述べた。

  • 参考展示されたタブレットPCのプロトタイプ

  • ベンダーは様々なOSの選択肢の中からニーズに応じたものを選べるという

  • より薄型のネットブックも市場に投入される予定だ

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