“ポッキー”でLOOPやIF関数を学ぶ、「GLICODE」の授業展開 - (page 2)

小関啓子(放送大学 大学院生) 尾崎拓郎(大阪教育大学 助教) 西端律子(畿央大学 教授)2017年01月11日 07時00分

小学校の授業へ展開できるか?

 グリコードを学校の授業に展開する際の課題について参加者で検討した結果、以下の2点にまとめられた。

1. お菓子の取り扱い
 まずは、食品アレルギーと衛生面について意見があった。ステージをクリアするたびに食べることも可能だが、授業中ということを考えると難しい。また、お皿などに置いて使い回すには、衛生的にも問題のない環境を用意する必要がある。グリコ―ドのサイトにもこの2点については注意喚起されている。

 次に必要なお菓子の量だ。ステージが進めばお菓子の種類も増える。全41ステージ中、前半22ステージを終了させるには、お菓子を使い回さない(ステージが終了次第食べてしまう)とするならば、ポッキー33本、ビスコ20個、アーモンドピーク6個が必要になる。使い回すのであれば、ポッキー8本、ビスコ4個、アーモンドピーク1個になるが、どちらにしても児童1人に対してこれだけ用意することは、予算的にも授業という状況的にも難しいだろう。途中までは教室で実施、残りは家庭で学習という授業設計が想定される。

2. プログラミングについて
 まず、LOOPについて。LOOPを行うには、初めに斜めにループ回数分のポッキーを置き、ループさせる内容のお菓子を置き、さらにループの終了は斜めに1本ポッキーを配置する。通常のプログラミングでは、「繰り返す」という考え方を使うことで、単純に並べるよりもより簡潔に記述できるが、グリコードでは、繰り返す回数をポッキーで示さなくてはならないため、簡潔にならない場合がある。

 また、特に後半のステージでゲーム的な要素が強いという意見もあった。例えば、先述のLOOPを使っても使わなくても、クリアできれば次に進むことができる。単に何個もお菓子を並べていけば同じ結果になるので、「プログラムとして」効率的な方法だったかどうか、実感を得にくい。

 いずれにしろ、「成功」「失敗」というゲーム的な要素だけではなく、アプリ使用後にどのような説明をするかが、プログラミング的思考の育成のためには肝要であろう。

 現状のグリコ―ドは、小学校低学年向けの、主にプログラミング言語の入門としては扱いやすいと考えられる。ただし、プログラミング教育においては、子どもの発達段階が上がることに合わせて、他のプログラミング言語へどのようにつなげていくかが重要だ。子供たちに身近なお菓子を使うという点で、グリコ―ドは小学校低学年でも興味を持たせることはでき、家庭にもその環境を広げることができるだろう。課題は次のステップへの移行、という点でイベント参加者の意見がまとまった。

 プログラミング必修化に向けては、人材育成、ICT環境、教えるべき内容と発達段階などさまざま検討しなければならないことがある。イベント終了後の11月11日午後11時11分のグリコサイン前、参加した教員・エンジニア全員で子どもたちが楽しくプログラミングで学べるために力を尽くすことを誓い合った。

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