東芝、純利益3.1倍でも「財務体質は依然として厳しい」--子会社で売上過大計上も

 東芝が発表した2017年3月期上期(4~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.3%減の2兆5789億円、営業利益は前年同期の891億円の赤字から967億円の黒字に転換。税引前利益は60.1%増の675億円、当期純利益は3.1倍の1153億円となった。


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 東芝代表執行役専務の平田政善氏は、「原子力発電所建設子会社の新規連結や、HDDの販売台数増による増収があったものの、売上高における円高影響がマイナス2050億円であったのに加えて、構造改革によるPCとテレビの事業規模の縮小が減収に影響。一方で、営業損益は、2015年度の構造改革による固定費の削減効果や賞与減額などの緊急対策継続の効果、前年同期には、リテール&プリンティングソリューションにおいて、東芝テックの子会社の減損があったことの影響に加え、数%と見込んでいたメモリの営業利益率が想定を大きく上回る12%となったことがプラスに影響。

 当期純損益は、第1四半期に計上した家庭電器事業の売却益など非継続事業の利益増があり大幅な黒字になった。だが、円高により外貨換算調整額がマイナス948億円と悪化したため、株主資本比率は、2016年3月末に比べて、1.4ポイントの改善となり、7.5%に留まった。財務体質は依然として厳しい状況にある。引き続き重要課題に位置づけている」とコメントした。

 セグメント別では、エネルギーシステムソリューションの売上高は前年同期比8%増の7606億円、営業利益は104億円増の96億円と黒字転換。送変電・配電システムなどが、太陽光発電システムを中心に減収。スマートメーターなどを手がける「ランディス・ギア」も減収になったが、原子力発電システムが大幅な増収になったのに加えて、火力・水力発電システムが増収となった。

 インフラシステムソリューションは売上高が5%減の5639億円、営業利益は189億円増の112億円。公共インフラは増収になったが、ビル・施設と産業システムが減収になった。

 リテール&プリンティングソリューションの売上高は8%減の2477億円、営業利益は737億円増の65億円。リテール事業は好調に推移したが、為替の影響により減収。前年同期は海外リテール事業の減損により赤字になったが、国内リテール事業の増収および海外リテール事業の収益改善により黒字化。大幅な増益になった。

 ストレージ&デバイスソリューションの売上高は1%減の7997億円、営業利益は417億円増の783億円。メモリは円高により減収減益となったが、旺盛な中国製スマートフォンやSSDの需要増により、売価は想定よりも高く推移。売上高、損益ともに、当初計画よりも上振れたという。また、HDDもPCおよびゲーム向け需要が引き続き堅調なほか、構造改革効果によって黒字化した。

 インダストリアルICTソリューションの売上高は6%減の1104億円、営業利益は62億円増の54億円。製造業向けシステム案件が減収。だが、緊急対策により収益が改善し、黒字化した。

 その他事業の売上高は38%減の2600億円、営業利益は339億円増となったものの、155億円の赤字となった。

 その他事業においては、PC事業は売上高が前年同期比59%減の996億円。営業利益は141億円改善したものの7億円の赤字となった。欧米市場におけるBtoC事業の撤退により売上高が縮小。一方で構造改革費用を計上したものの、国内市場向けの販売が牽引して、営業損益が改善したという。「PC事業においては、第1四半期に、37億円の構造改革費用を遅れて計上しており、実質的には黒字と判断している」とした。


セグメント別決算概要

 また、映像事業の売上高は前年同期比42%減の279億円、営業利益は110億円改善したものの105億円の赤字となった。海外ブランドライセンス化により、売上高は縮小。営業損益は改善したものの、過去機種の品質対応引当などのマイナス影響があり、赤字となった。液晶テレビの不具合対応費用およびライセンス費支払いに関わる係争案件で、合計84億円の費用を計上しており、「映像事業では、一部遅れている海外拠点からの撤退に関する海外拠点整理関連費用として、下期に100億円超を見込んでいる。年末商戦にしっかりと注力するとともに、これまで実施した諸施策に加えて、恒常的な黒字化に向けて、さらなる構造改革などを実施する計画。具体的な内容については現在検討している。あらゆることを検討したい。年末商戦に注力した結果、どこまで行けるかを考えたい。いま、決まっている内容はない」とした。

 2016年度の連結業績見通しは、2016年11月8日に新たな計画値を公表。売上高は5月12日公表の期初計画に比べて3000億円増の5兆4000億円、営業利益は600億円増の1800億円、税引前利益は450億円増の1300億円、当期純利益は450億円増の1450億円を目指す。

 「株主資本比率は期初見通しよりも、1.6ポイント減の6.4%を見込んでいる。2016年3月からは差が水準に落ち着く」とした。

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