「日本ブロックチェーン協会」が発足--28社が参画、行政も“次の一手”に期待

 仮想通貨ビットコインの登場とともに誕生した分散型ネットワーク技術「ブロックチェーン」。同技術を活用したサービスを提供する事業者が参画し、仮想通貨サービスに関するガイドラインの策定や、社会インフラへの応用、国や関係省庁へ政策提言などをする業界団体「社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)」が設立された。

 4月27日に開催された設立記者会見を元に、JBAの設立趣旨やブロックチェーン技術の今後の可能性と課題をレポートする。

日本ブロックチェーン協会が設立
日本ブロックチェーン協会が設立

分散型ネットワークを認証システムとして活用

 ブロックチェーン技術とは、ユーザーのデータベースや取引台帳といった価値情報を世界中のコンピュータに分散して管理し、その分散ネットワークの特長であるコンセンサス・アルゴリズム(分散型合意形成)を認証システムとして活用する技術。たとえば、インターネット決済などでは、銀行やクレジット会社、ネット決済会社といった中間的な第三者が中央集権的に決済を認証することが一般的だ。

 これをブロックチェーンのコンセンサス・アルゴリズムに置き換えることで、システム負荷の分散やコスト削減、ハッキングなどの脅威や自然災害などによるデータ損失に対するリスクヘッジが期待できるという。世界的には、欧米の大手金融機関や証券取引所がブロックチェーンを活用したシステム構築の研究を進めているほか、金融分野以外への応用も各国で検討されている。

 日本ブロックチェーン協会は、ブロックチェーン技術による産業振興や社会インフラへの応用のための普及促進活動、関係省庁などへの政策提言をするとともに、海外のブロックチェーン技術に関する事業者団体と連携することを目的として設立された。

仮想通貨部門とブロックチェーン部門に分かれる
仮想通貨部門とブロックチェーン部門に分かれる

 ビットコインをはじめとする、仮想通貨に関する政策提言をすることを目的に、2014年に設立された日本価値記録事業者協会(JADA)を改組した形で、代表理事にはbitFlyer代表取締役の加納裕三氏が就任。ガイアックス、VOYAGE GROUP、日本マイクロソフト、GMOインターネットなど28社が正会員、賛助会員として参画する。組織は仮想通貨部門とブロックチェーン部門に分かれる。仮想通貨部門では、仮想通貨交換事業者向けのガイドライン策定や監査の実施、関係省庁や団体との連携などを進めていくという。

日本ブロックチェーン協会代表理事の加納裕三氏
日本ブロックチェーン協会代表理事の加納裕三氏

 協会設立にあたり、代表理事の加納氏は、「ビットコインの世界的普及を実現したブロックチェーン技術を応用することで、早く安く効率よく取引を記録するシステムを生み出し、新たなビジネスや社会基盤を作ろうとする試みが始まっており、関係省庁や企業も注目している。ブロックチェーン技術に精通している仮想通貨関連事業者やビットコイン関連事業者が集まり、ブロックチェーンに関する窓口となるために、JADAからの改組を行った」とJBA設立の背景について説明した。

JBAの主な活動内容
JBAの主な活動内容

 今後の活動については、「仮想通貨部門は、引き続き国内における利用者保護を含む仮想通貨ビジネスの健全な発展を目指して規制への対応や政策提言をし、近日成立予定の改正資金決済法(いわゆる仮想通貨法)に定められる『特定資金決済事業者協会』となることを目指す。ブロックチェーン部門では、国家の成長戦略に貢献できるような活動ができるよう、定義の整理、政策提言、産業振興提言、国際的な連携を進めていく」とし、仮想通貨とブロックチェーンによって、世界をリードする存在になることを目指すと意気込みを語った。

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