実は代表である山本氏は、チャットワークの提供を開始した翌年となる2012年から、自身の生活拠点を米国のシリコンバレーに移している。当初からグローバル展開を念頭に置いていたことから、サービス公開後すぐに渡米し、現地のピッチイベントに参加。しかし当時、ビジネスにおけるチャット活用は「米国でも早かった」ことから受け入れられなかったそうだ。
そこで、ユーザーの心理を理解するために、山本氏自らがシリコンバレーに身を置くことを決意。拠点を移し、米国のビジネスパーソンと共に仕事をする中で、「日本では同じ会社でいろいろな部署を移動するが、米国では転職を繰り返して同じ職種でプロフェッショナルになる人が多い」「海外では名刺はそこまで重要ではなく最後に交換することもある」といった習慣の違いを肌で感じたという。
そうした違いを踏まえつつ、あえて国ごとのローカライズはしない方針だと山本氏は話す。「本来なら日本人向けにはカレンダーや承認フローなどを入れた方がいい。ただ、そうすると“全部載せ”になってしまい、使い勝手が良くないのでシンプルさは維持する。また米国では、社内はチャットだけど社外はメールというスタイルがいまだに多い。そこに対して、日本のように社外でもチャットで連絡するような習慣を持ち込みたい。両方のニーズを見ながら発展させていく」(同)。
また、“100%自己資金”という方針を貫いてきた同社だが、「シリコンバレーで2年挑戦する中で、さらなる成長には自己資金だけでは限界があると感じた」(山本氏)ことから、2015年4月にGMO VenturePartnersから約3億円の資金調達を実施。さらに、2016年1月にはジャフコ、新生企業投資、SMBCベンチャーキャピタル、GMO VenturePartnersから約15億円の資金を調達した。
調達した資金は、さらなるグローバル展開に向けた人材採用やサービス開発の強化、ビジネスサイドの提携などに充てるとしている。「2015年に調達するまではギリギリの人数で回していたが、ビジネスサイドやエンジニアなど人も採用して、ようやくスピードアップできる体制になった。2016年はいろいろなプロジェクトが動き始める」(山本氏)。
グローバルの利用状況としては、米国の企業が多いが、台湾やベトナム、フィリピンなどのアジア圏でもユーザーが増えていることから、今後は欧米とアジアを同時に攻めていくという。「特に欧米は考え方や価値観が違うので、厚い壁を思い切り壊したい。よく私は『焼け石に水をかけ続けて冷やす』と言っている(笑)」(山本氏)。資金調達し、人員や開発体制も強化したChatWork。2016年は同社にとって飛躍の年となるのだろうか。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス