“コピー機の会社”からの脱却--富士ゼロックスがベンチャーと組んだ狙い - (page 2)

 Wemakeのウェブサイトでは、プロジェクトに投稿されたアイデアがいくつか公開されている。ユニークなものとしては、たとえば「複合機の機能を箱から解放する」というアイデア。“スキャン”機能をデスクの上にあるライトに置き換えるなど、複合機が搭載する機能をバラバラにして、他のさまざまなデバイスで補うという内容だ。考案したのはデザイナーのユーザーで、日頃から切り貼り作業が多く、複合機を使うたびに移動しないといけない不便さから生まれたアイデアだという。

「複合機の機能を箱から解放する」
「複合機の機能を箱から解放する」

 また、本体に内蔵されたプロジェクタで資料を投影したり、音声認識によって参加者が発言した内容を画面に表示したりすることで、アイデア会議を楽しくサポートするロボット「facilitation robot ROX」なども投稿された。硬くなりがちな会議を明るくし、ブレインストーミングに必要な環境を作ることを目的としたものだ。ほかにも、複合機を使って訪日外国人向けに観光地の地図やチケットなどを出力する「CO-PO」など、社内だけでは中々出てこない、斬新なアイデアが多数集まったという。

「facilitation robot ROX」
「facilitation robot ROX」

 プロジェクトでは、応募期間中でも優れたアイデアがあれば、社内のメンターとともにアイデアの改善を同時進行していたそうだ。「よくあるのは、募集期間が終わったら、そこから候補を選ぶという流れだが、このプロジェクトでは同時に投稿者とコミュニケーションしながら走らせていく」(富士ゼロックスの大川氏)、「中長期的にユーザーと対話し、双方で意見を出しながらトライアンドエラーを繰り返すことが大切」(Aの大川氏)。

 最終結果は4月に発表されるが、いわゆる“アイデアを表彰しておしまい”といった形だけのプロジェクトではなく、受賞したコンセプトの商品化も前向きに検討する。「いかに社内で実現するかということを意識して活動していきたい。ユーザーと共に作るため、狙い通りにいったらいいなと思う一方で、アイデアが予期せぬ方向に転がっていくような展開にも期待している」(富士ゼロックスの大川氏)。

 また、若手中心のプロジェクトチームから出たアイデアを、大企業という組織の中で具現化していくプロセスも設けなければいけないと馬場氏は話す。「思いとしては、絶対にコンセプトを商品化してみせる。これがミドルマネジメントがやらないといけないこと。プロジェクト自体に口出しはしないが、有志のメンバーだけでは中々プロダクトアウトまではいかない。彼らがやってきたことを具現化するための仕組みや取り組みを社内に作っていく。こうした役割をしっかり果たしたい」(馬場氏)。

 ユーザー投票の開始まで残り2週間。富士ゼロックスはユーザーとの共創によって、どのような化学反応を起こすのだろうか。最終結果が出る4月以降の展開については未定だが、同社ではWemakeと継続的に新たな企画を生み出していきたいとしている。

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