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ネット一筋30年のニフティが挑むIoT--モノづくり企業との化学反応

2016/01/25 12:01
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 グローバルでテクノロジのトレンドとなりつつある「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」は、データ解析やサービス作りに長けたIT企業と、世の中に新しい製品を送り出してきた製造業など非IT企業という、これまで近いようで遠い存在だった両者の間に新たなエコシステムを生み出そうとしている。こうしたITと非ITの融合に挑む企業は、IoTビジネスの実現に向けてどのような目標を見出し、戦略を考えているのか。2016年に創業30周年を迎えるニフティで「ニフティIoTデザインセンター」の責任者を務める、クラウド事業部モバイル・IoTビジネス部部長の佐々木浩一氏に話を聞いた。

 ニフティIoTデザインセンターは、メーカー企業などに対して商品・サービスのIoT化を支援するソリューション。同社のIoT専任チームが、ニフティクラウドのシステムプラットフォームとそこで稼働するIoT支援アプリケーション、インターネットサービス「@nifty」の会員基盤、Webサービス・アプリの開発ノウハウなどのアセットを活用して、アイデア・企画の立案、マーケティングリサーチ、アプリケーションやシステムの設計、プロトタイプの開発などを実施する。2015年7月にサービスの提供を開始し、現在手掛けている案件は70件にのぼるという。その具体的な取り組みや事例については、2月18日に開催するイベント「CNET Japan Live:Target 2020~テクノロジーがもたらすパラダイムシフト~」において、「ニフティのIoTビジネス--70案件から見えた真の取り組み方」と題して講演する予定もある。

ニフティ クラウド事業部モバイル・IoTビジネス部部長の佐々木浩一氏 ニフティ クラウド事業部モバイル・IoTビジネス部部長の佐々木浩一氏

ニフティが培った「I」の知見とメーカーが持つ「T」の知見を融合

――まず、ニフティIoTデザインセンターが生まれた前提として、ニフティが考えるIoTへのアプローチについて教えてください。

佐々木氏:これまでニフティでは、家庭生活者向けにインターネットサービスを提供することを得意としてきましたが、これからやってくるIoT時代においても、これまでと同様に家庭生活者への提供を想定した「生活を便利で豊かにするIoT」の実現を目指していきたいと考えています。その肝となるのは、もちろんデータの活用です。家庭生活をセンシングすることで集められるさまざまなデータをいかにして生活者にフィードバックしてより良いサービスを生み出せるかを重視していきます。

 とはいえ、ニフティだけでIoTのサービスを作っていくことは難しいのではないかとも考えています。そこで、家電やおもちゃなど多種多様なハードウェアを作る多くのメーカー企業と提携することで、豊かで便利なライフスタイルを生み出していきたいのです。ニフティのアセットを活用してメーカー企業のデバイスのIoT化をサポートするニフティIoTデザインセンターは、こうした思いで誕生しました。組織はニフティクラウドの部門だけでなく、インターネットサービスの担当者などをはじめ社内のメンバーを横断的に集めています。

 私たちは、パソコン通信サービス「NIFTY-Serve」の時代から数えて2016年の2月でちょうど30周年を迎えます。これまで蓄積してきたIoTのI(Internet)のノウハウやシステム環境などのアセットを、メーカー企業が長年培ってきたIoTのT(Things)を創り出すノウハウやアセットと融合させることで、新しい世界を作っていきたいと思っています。

ニフティIoTデザインセンターの支援イメージ ニフティIoTデザインセンターの支援イメージ

――どのような企業をターゲットにしているのでしょうか。企業からの問い合わせに対して具体的にどのような形で支援をしていくのでしょうか。

佐々木氏:家庭向けのITサービスをやりたいと考えていて、かつデバイスを開発している企業をターゲットにしています。お問合せを頂いた際の対応はさまざまですが、お問合せの中で多いのは「こういうデバイスを作ったが、どういうサービスにしようか、どのようなビジネスモデルにしようかという点が見えていない」といったものや、「デバイスを作ってみたが販売で苦戦している」といった相談です。このような相談に対しては、ニフティの専任チームが一緒に企画アイデアを立案したり、@nifty会員を対象にアンケート・リサーチをしたりしながら、サービスのマーケティングや企画支援を進めていきます。

――相談しようとするメーカー企業には、最初に何を準備しておいて欲しいでしょうか。

佐々木氏:「何を価値としてその商品を世の中に提供していくのか」という自己分析をしっかりとしておいて欲しいと思います。まず「とにかくIoTをやりたい」というアプローチですと手段が目的化してしまいがちですが、実は商品の目的を改めて自己分析してみると、その価値の実現にIoTは必ずしも必要ではない、と気づく場合もあります。目的はIoTをやることではなく、あくまで商品の価値を実現することなので、商品の価値を分析した上でIoTの技術を導入することが有効かどうかを一緒に検討していければと思います。

ネット企業とメーカー企業が共に歩む

これまで「IoT」に関して70案件手がけた これまで「IoT」に関して70案件手がけた

――2015年7月のサービス開始以降、これまでどのような事例を手掛けているのでしょうか。

佐々木氏:これまで私たちでは70件ほどの案件を手掛けてきましたが、その傾向はペット向け、幼稚園向け、温浴施設向け、工場向け、そしてヘルスケア分野や(子どもやお年寄りの)見守りなど幅広くさまざまです。

 例えば、幼稚園向けに開発したあるプロトタイプでは、幼稚園の園児や園庭にある遊具にセンサーを取り付けて、園児がよく遊ぶ遊具の傾向や、先生と園児、園児同士のコミュニケーションの動きをセンシングして見える化することで、園児のケアをより充実させることを想定して開発しました。このプロトタイプと実際に幼稚園で実証実験をしてみた様子などは、2月18日に開催されるイベント「CNET Japan Live 2016:Target 2020~テクノロジーがもたらすパラダイムシフト~」の会場で展示する予定です。

 また、温浴施設や工場など生活者に製品やサービスを送り出す現場の作業を効率化したり、安全性を高めたりといった明確な目的を持っている企業は、プロジェクトの推進が速いと感じています。おもしろい事例としては、沖縄県では「家畜やヤンバルクイナを襲ってしまうため害獣に指定されているマングースを捕獲して駆除する」という作業があるのですが、これまで森の中で作業員の手で目視確認して仕掛けてきたワナにセンサーを取り付けて、ワナにマングースが掛かったかどうかを目視しなくても確認できるようにしたというケースがあります。

 一方で、先ほどお話した家庭生活者向けの製品という点では、まだ検討フェーズ、企画フェーズのものが多いので、今後ビジネスモデルの検討やマーケティングを通じて試行錯誤しながら形にしていきたいと思っています。例えば、おもちゃメーカーとはネットに繋がって楽しくなる新しい玩具を開発したいというニーズに対して、どのようなアイデアを実現できるか検討しているところです。ニフティ専任チームでは、実際におもちゃメーカーから製品を購入して、それを分解してみてどのようにネット接続機能を盛り込めるかを考えて提案もしています。

――@niftyの会員基盤を活かした商品開発ができるというのは大きな強みですね。

佐々木氏:メーカー企業は商品を売り切るビジネスモデルが多いので、直接コンタクトを取れる顧客(=家庭生活者)を数百万人規模で擁している点や、料金回収モデルが確立している点、コールセンターなどユーザーサポートの運用が確立している点など長年インターネット接続サービスを手掛けてきたニフティのサービス基盤は、大きな価値になるのではないかと思います。

 メーカー企業で商品を開発するエンジニアの方がたは、「このデバイスで何かIoTを実現しろ」という社内のミッションに対して、マーケティングやアイデア立案で困難に直面する部分もあるのではないかとも思うのです。そこで、ニフティのノウハウをうまく活用してもらえれば、開発の効率もよくなるのではないでしょうか。

――IoTの時代においては、これまではハードウェアを作ることだけを考えてきたメーカー企業が、ネットを活用したサービスも同時に考えなくてはならなくなってきたと思います。とはいえ、すぐにアイデアが生み出せるほどの知見があるわけではないので、ニフティのようなネット企業の知見が求められるのですね。

佐々木氏:そうですね。しかし、実際にIoTの実現に携わるようになって、IoTはネット企業のノウハウだけでは実現することはできず、メーカー企業のハードウェアに対する知見は必要不可欠だということも強く感じるようになりました。ネット企業とモノづくり企業がタッグを組んで一緒に進んでいかなければ、IoTによって生活を豊かにするための製品やサービスを生み出すことはできないのです。

――最後に、ニフティIoTデザインセンターの今後の戦略について教えてください。

佐々木氏:まずは、サービスを拡充していくためにハードウェア企業、セキュリティベンダー、SIerなどパートナーとの提携を推進していきたいと思います。加えて、技術の研究やプロトタイプの開発、その評価検討のためのブレストができる「ラボ」を現在の社屋とは別の場所に設置することで、ニフティIoTデザインセンターにとって重要な「お客様と一緒にモノづくりに挑む」というミッションを進めやすくする環境を整える計画を進めているところです。IoTのアイデアを膨らませてもらうためには、実際に開発された製品やプロトタイプを見てもらうことも重要なので、ラボはお客様に対してショールームの役割も果たせればと思っています。

 今後のビジネスモデルとしては、ニフティIoTデザインセンターはあくまでメーカー企業と協業しながら試行錯誤するプラットフォームという位置づけで、製品開発で収益をスケールさせていこうとは考えていません。利益はあくまで、ニフティクラウドや通信環境といったプラットフォームの利用料で生み出していきます。また収益だけでなく、この取り組みで生まれたいろいろな知見はニフティクラウドにフィードバックし、ニフティクラウドを利用している顧客にも提供していきたいと思っております。

2月18日に開催するイベント「CNET Japan Live:Target 2020~テクノロジーがもたらすパラダイムシフト~」において、ニフティは「ニフティのIoTビジネス--70案件から見えた真の取り組み方」と題してIoTビジネスに関するさらに具体的な取り組みや戦略を講演するとともに、展示ブースでも事例を説明します。

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