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外国人観光客に多言語で提供--札幌市で「観光オープンデータ」を進める意義

2016/01/22 13:48
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 日本マイクロソフト、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所(YRP UNL)は1月19日、札幌市で総務省からの受託事業「オープンデータによる都市全体の外国人受入環境整備事業」の実証実験を進めると発表した。

 札幌市内の宿泊施設、飲食店、市営の鉄道・バス、スポーツ施設などから提供されたさまざまな情報をオープンデータ化し、そのデータを活用して外国人観光客向けに多言語で情報提供するスマートフォンアプリ「ココシルさっぽろ」を開発。1月30~31日に開催される「FISスキージャンプワールドカップ 2016 札幌大会」、2月5~11日の「さっぽろ雪まつり」の来場者にアプリを利用してもらい、その有効性を検証する。特に、スポーツイベントに関連したオープンデータの活用は国内で初めてだという。

オープンデータの流通基盤に「Microsoft Azure」を活用

 「オープンデータによる都市全体の外国人受入環境整備事業」は、総務省の2016年度オープンデータ・ビッグデータ利活用推進事業の1つである「オープンデータシティの構築に向けた実証に係る請負」を2社が受託したもの。総務省から約4000万円の事業資金を得て、2015年9月~2016年3月の半年間、札幌市をフィールドに、(1)観光・スポーツ・公共交通などのデータを収集してオープンデータ化するための環境整備、(2)オープンデータを活用するためのスマートフォンアプリなどの開発促進――に取り組む。


「オープンデータによる都市全体の外国人受入環境整備事業」の目的

 同受託事業では、オープンデータの流通基盤として「Microsoft Azure」を利用。アプリの画面やアプリから提供する情報を多言語化する翻訳エンジンとして「Microsoft Translator」を使う。YRP UNLが、スマートフォンアプリから直接オープンデータを取得するためのAPI、および地理情報を取得するためのAPI「札幌オープンデータAPI」を開発した。これらの仕組みを組み合わせて、観光客のスマートフォンにビーコンから観光情報を多言語でプッシュ配信するシステムを構築している。

 オープンデータを活用するためのスマートフォンアプリの開発を促進するための取り組みとして、2015年11月にアイデアソンとハッカソンを開催した。また、2015年11月~2016年1月22日の期間、アプリコンテストを実施している。

 また、アプリ開発を促進するだけでなく、同事業においてはYRP UNLも札幌市内の観光オープンデータ活用に特化したiOS/Androidアプリ「ココシルさっぽろ」を開発している。「ココシルさっぽろ」では、現在位置に合わせて、宿泊施設の案内、交通機関の利用方法、観光名所の解説などを機械翻訳の6カ国語(日本語、英語、韓国語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、タイ語)で提供する。今回のFISスキージャンプワールドカップ、さっぽろ雪まつりの実証研究では、この「ココシルさっぽろ」を利用する。


「オープンデータによる都市全体の外国人受入環境整備事業」の全体像

ビーコンからスマホに観光情報を自動通知

 実証実験では、「ucode」を発信するビーコンを札幌駅地下街やイベント会場に設置。スマートフォンを持った人が10メートルの範囲に近づくと、その場所の案内などを自動的に配信する。ビーコンは駅地下街に11個、さっぽろ雪まつり会場の大通公園に11個設置した。ucodeは、モノや場所に割り当てる識別用番号。国際標準規格であり、YRP UNLが中心となって開発した。

 例えば、FISジャンプワールドカップ2016年札幌では、「ココシルさっぽろ」から、出場選手の情報、会場となる大倉山ジャンプ競技場の施設案内、観光バスの集合場所と時間などを提供する。アプリを利用した観光客にアンケートをとりアプリを評価するという。


「ココシルさっぽろ」アプリ、スキージャンプの選手を滑走順に多言語で紹介する

札幌で成功しなければ東京でうまくいくはずがない

 19日、札幌市長の秋元克広氏、日本マイクロソフト 代表執行役 会長の樋口泰行氏、YRP UNL所長で東京大学教授の坂村健氏が共同記者会見を開き、同事業の背景な内容について説明した。


(左から)日本マイクロソフト 代表執行役 会長の樋口泰行氏、札幌市長の秋元克広氏、YRP UNL所長で東京大学教授の坂村健氏

 まず、秋元氏は、札幌市を訪れる観光客の状況について、「外国からの観光客が非常に増えている。2015年度、札幌市内のホテルの宿泊数は約141万6000人と過去最高だった。2016年度はこの数を上回る見込みだ」と述べた。

 また、同事業に期待することとして、「民間企業のアイデアとITを組み合わせたアプリで、札幌滞在をより魅力的に感じてもらいたい。市としては、市内の宿泊施設や飲食店、交通機関に積極的にデータを提供してもらえるように働きかけていく」と述べた。市内の観光関連施設やスポーツ関連施設などからの情報提供を促進することを目的に、総務省をオブザーバーとして、日本マイクロソフトとYRP UNLに札幌市内の観光関連団体22団体を加えた「札幌オープンデータ協議会」が同日設立されている。

 樋口氏は、「今回の実証では、札幌市の観光客の傾向に合わせてアジア地域の6カ国語を選定したが、Microsoft Translatorは世界50カ国語に翻訳できるサービスだ。通訳者の少ない言語にも対応可能で、日本が先進的な技術を取り入れていることを海外に示すことができる」と説明した。

 坂村氏は次のように述べている。「札幌市は、主要な鉄道やバス、スポーツ施設、観光施設を市が管轄している。民営化されている機関からオープンデータのための情報提供を受けるには合意をとるのが大変だが、その点、札幌はシンプルだ。(観光オープンデータの活用が)札幌でうまくいかなければ、東京でうまくいくはずがない」

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