では、Cotaを開発しているOssiaへ出資したKDDIは、どのような経緯でこの技術を知り、出資するに至ったのだろうか。KDDI執行役員 バリュー事業本部 新規ビジネス推進本部長である雨宮俊武氏は、「KDDIは、『KDDI∞Labo』などを実施して国内のスタートアップ育成に力を入れているが、サンフランシスコにもオフィスを構え、シリコンバレーで情報を得たりするなど、海外でのスタートアップに対する出資にも力を入れている」と話す。新しい技術を日本に取り込むべく、海外のスタートアップ企業への支援も進めているのだという。
そうした中で、米国のスタッフからOssiaの情報を聞き、実際に現地で技術を見て協議を進め、出資することにしたという。出資を判断した理由については、「今後IoTの世界が広がることを考えると、ワイヤレス給電プラットフォームの必要性は非常に高い」(雨宮氏)と話しており、そうした企業と関係性を持ち、日本に新技術を持ってくるために出資を決めたと説明した。
今回、CESで実施されたCotaのデモにおいても、早速KDDIと連携している。Cotaは基本的に、対応する機器ならどの機器に対しても給電可能なことから、“盗電”されてしまう懸念もある。そこで、あらかじめ登録したデバイスだけ給電できる仕組みも備わっている。CESではau IDを用い、スマートフォン上で登録したデバイスだけに給電するデモを披露していた。
Ossiaとの実際の連携に関して、雨宮氏は「給電の仕組みをスマートフォンだけでなく、IoT機器に入れていきたい。チャージャーの提供もできたらいいなと思っている」と話しており、日本への導入に強い意欲を示している。しかし、日本への展開に関しては、商用化の面で大きなハードルがあるようだ。
Cotaは2016年度内にFCCから許可を得て、米国での商用化を実現するべくFCCと話し合いを進めている。ただ、日本での展開については、「日本ではまだ送電への法整備がされておらず、ようやく総務省が興味を持ちだしたところ」(雨宮氏)と説明。法整備の面から、日本展開には相応の時間を要すると見ており、KDDIは国内での提供に向け、各省庁との調整にも取り組んでいく姿勢を示した。
「将来的にはWi-FiやBletoothのような国際規格を目指したい。国によってルールがあるが、各地でパートナーを獲得し、協力して展開を進めていきたい。それが2016年のチャレンジの1つだ」――Hatem氏がこう話すように、技術的な問題はクリアできても、世界での商用化に向けては多くのハードルがあるのも事実。そうした壁を乗り越えて、Cotaがワイヤレス給電技術としての「標準」を確立できるかが、大いに注目されるところだ。
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