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スマホを”置かず”に充電できるワイヤレス給電「Cota」--KDDIが出資した理由とは

2016/01/15 16:36
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 KDDIが出資した米国のOssiaという企業が開発を進めている、ワイヤレス給電技術「Cota」。2.4GHz帯の電波を用いることで、特定の場所に端末を置くことなく給電できる技術だが、一体どのような仕組みで実現しているのか。そして、KDDIはなぜOssiaに出資したのだろうか。

 1月初旬に、米国・ラスベガスで開催された家電・ITの総合見本市「CES 2016」の会場で、両社の代表者に話を聞いた。なお、Ossiaは同イベントでCotaのデモを披露している。

10m以内であればどこに置いても給電できる「Cota」

 ケーブル不要で電力の供給ができるワイヤレス給電は、日本でもスマートフォンなどに搭載された実績のある「Qi」など、いくつかの技術方式が存在する。そうした中でも、米国のOssiaが開発を進めているCotaは、給電する際にデバイスを特定の場所に設置する必要がないという点に大きな特徴がある。

 Cotaの給電には、Wi-FiやBluetoothなどに用いられている2.4GHz帯の電波を使用している。給電するチャージャーから2.4GHz帯の電波を送出し、それを専用のレシーバーチップを搭載したデバイスが受信することで、給電する仕組みだ。基本的に、レシーバーチップを搭載するだけと、給電される側のデバイスへの実装が容易なことに加え、チャージャーの電波が届く最大10mの範囲内であれば、デバイスをどこに置いても給電できることが、大きなポイントとなっている。


2.4GHz帯を用いたワイヤレス給電技術「Cota」。中央にあるのが給電用のチャージャーとなる

 またCotaでは、複数のデバイスを同時に給電することも可能。人体の影響を考慮し、送電は最大1Wまでに抑えられているが、チャージャーから直接発せられる電波だけでなく、壁で反射した電波などを同時に受信することで、移動中や障害物がある場所でも給電できるという。

 Cotaの仕組みを開発したのは、OssiaのCEOであるHatem Zeine氏だ。もともと学生時代に物理学を専攻し、電波信号に関する研究をしていたというHatem氏。約15年前に、「信号電波を飛ばすことで電気が得られる」ことを発見し、ワイヤレス給電に関する研究を進めてきたという。その後、Hatem氏は起業をしたり、マイクロソフトのエンジニアを経験したりしているが、その間もワイヤレス給電の研究には一貫して取り組んできたそうだ。

 そして、Hatem氏はワイヤレス給電を事業化するべく、2008年にOssiaを設立。ワイヤレス給電に関する5つの特許を取得し、米国の安全基準を守りながら、電波の出力や給電可能な距離、チャージャーのサイズなどを改善して、商用化に向けた取り組みを進めてきたのだという。


Cotaを開発したOssiaのCEOであるHatem Zeine氏

出力が小さくIoTデバイスへの給電に重点

 今回のCESで、ワイヤレス給電のデモを実施したCotaの給電チャージャーは、サイズ的に言うと炊飯器を縦に2個並べたくらいの大きさといったところ。この中に、Hatem氏が自ら設計したというアンテナチップが並べられ、そこから電波を射出している。具体的には、1つの基盤に56のアンテナチップが並べられており、チャージャー内にはそれを16枚並べて設置しているとのことだ。


チャージャー内に設置されているアンテナチップを並べた基盤。1枚当たり56のチップが並べられている

 Hatem氏によると、当初はアンテナチップが大きかったことから、チャージャーのサイズも「冷蔵庫くらいだった」という。そこから2年半かけてアンテナチップのサイズを小型化し、現在のサイズを実現した。しかし、さらに一回り小さいチャージャーの開発の目途も立っており、4カ月程度で実現できるとしている。「サイズを小さくすると電波の出力が下がることから、同じ効率で小型化を実現することがチャレンジだ」(Hatem氏)。

 先に触れた通り、Cotaの仕組みは、複数の機器を場所を選ぶことなく同時に給電できることが大きなメリットとなる。その一方で、米国のFCC(連邦通信委員会)の安全基準を満たすことを重視しているため、送電は1Wまでに抑えられているのが弱点だ。同時に給電できるのも、スマートフォンのケース型バッテリなら2台くらいまでとなり、大容量バッテリを備える機器の給電には適していない。

 そうしたことから、Hatem氏はCotaをIoT(Internet of Things)デバイスの給電などで利用することを想定しているという。たとえば、天井に設置する監視カメラへ電源を供給するには、通常配線が必要なことから設置の手間が大きい。そこでCotaを使えば、そうした場所に設置するデバイスであっても配線不要で簡単に給電でき、設置の手間を大幅に減らすことができる。


単三電池型の給電デバイス。給電したい機器にレシーバーチップを搭載することで、チャージャーからの電波を受信し、給電できるようになる

 その一方で気になるのが、給電用の電波の周波数帯に、2.4GHz帯を用いることだ。特に2.4GHz帯は、都市部でWi-Fiの利用が増え、混信が顕著になっていることから、そうした中でも問題なく給電ができるのか、という点は非常に気になるところだ。その疑問に対し、Hatem氏は「利用するのは2.4GHz帯だが、あくまでCotaはそこから電力を取り出すために活用する。そのため、Wi-Fiなどの干渉の影響を直接受けない仕組みとなっている」と答えている。

 Cotaは、Wi-Fiとアンテナを共用することも可能とのこと。ただし、Wi-Fiのアンテナは通信用に最適化されていることから、必ずしも給電に適しているとは限らない。そのため、アンテナを共有化する際は、どのようにアンテナを最適化する必要があるか、検討が必要になるとHatem氏は話す。

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