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「NOTTV」が6月に終了へ--マルチメディア放送の始まりと終わり

2016/01/08 08:00
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 2016年3月、アナログテレビ放送の周波数跡地を活用した新たなマルチメディア放送が開始される。サービスの名称は「i-dio」。いわゆる「デジタルラジオ」の流れを汲んだサービスで、スマホや車載型端末などの移動体端末を対象に、映像や音声、データ情報などを交えた高度なデジタル放送サービスを展開していくという。

 一方、終了を迎えるマルチメディア放送もある。i-dioと同様にアナログテレビ放送の跡地を活用し、2012年4月からサービスを提供してきたスマホ向け放送サービス「NOTTV」だ。開始から丸4年と3カ月となる2016年6月末をもって終了となることが2015年末に発表された。

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6月でのサービス終了がアナウンスされた「NOTTV」6月でのサービス終了がアナウンスされた「NOTTV」

 NOTTV終了が発表されるおよそ1カ月前、東京・渋谷で開かれたi-dioの発表会見において、関係者にこんな質問を投げかけてみた。「(VHF跡地を活用したマルチメディア放送として)先行しているNOTTVは、そこまでうまくいっていないようだが、i-dioは違う成果をもたらすことはできるのか」と。

 事業全般を推進するホールディング会社・BICの常務取締役で東京マルチメディア放送社長の藤勝之氏は、「(NOTTVは)別の事業者が展開するサービスなので一概には言えない」と前置きしつつ、「全国放送とブロック放送、もっと単純には有料・無料の違いがある」と説明した。

 放送対象エリアとビジネスモデル、確かに事業者目線で見た場合の違いは大きい。しかし、ユーザー目線で見た場合、それらにどれほどの違いを感じることができるか。改めて「NOTTV終了の要因」を探りつつ、移動体向け放送サービスの今後を考えてみたい。

ドコモが挙げる「終了の要因」

 「NOTTVサービスの終了」を伝えるNTTドコモの報道発表資料は極めて簡素なものだ。その要因らしき部分については「昨今のスマートフォン向けのインターネットなどによる映像配信の普及により、当初想定していた会員数の獲得に至らず……」とあるのみだ。

 もう少し細かい分析をすべくNTTドコモに質問を投げてみると、要因として挙げてくれたのは大きく3点。先のリリースにもあった「インターネットによる映像配信サービスの急速な拡大」のほか、「ユーザーの映像視聴スタイルの変化」、そして「対応端末販売数の伸び悩み」だ。

 前の2点は相互に関連した内容だ。LTEやWi-Fiが急速に普及したことにともない、無料動画を含めた通信経由の動画配信サービス利用が大幅に拡大。加えて、時間や場所を問わずに楽しめるVODがスマホ向け映像サービスの主流となり、編成型の放送サービスがさほど受け入れられなくなってしまった。通信に対するインフラ面の優位性が損なわれたばかりか、サービス提供スタイルでは後塵を拝するようになってしまったわけだ。

2015年9月には映像配信サービスの「Netflix」が日本に上陸した
2015年9月には映像配信サービスの「Netflix」が日本に上陸した

 3点目の端末問題。これはiPhoneなどのサービス非対応端末がスマホ普及の主役となった点が大きい。これにともない、NOTTV機能を搭載していた国内メーカーが相次いでスマホ生産事業から撤退してしまったことも大きなマイナスとなった。また、NTTドコモの回答では触れていないが、結局最後までマルチキャリア対応とならず、ドコモ単独のサービスとなってしまった点も考慮に加えておくべきだろう。

 総じていえば「計算外」の一言につきる。移動体向け放送サービスが「次世代放送サービス、放送・通信連携の象徴」として期待を集めていた2000年代中~後期において、移動体端末に動画を送る手段としての放送波は絶対的存在だった。加えて端末も、後に「ガラケー」と揶揄されることになるほど尖った性能を詰め込んだ国産製品が幅を利かせていた時代。その独特な進化を主導していたといっていいキャリア側からすれば、数年後、よもや端末搭載機能に口を出せない時代がくることなど予想できまい。

 マルチキャリア対応の件でいえば、周波数獲得競争時におけるKDDIとの激しい争い(当時、KDDIは米クアルコムが提唱するMediaFLOを推奨)が最後まで尾をひいてしまったことも計算外と言えるかもしれない。直接のライバルだったKDDIとはノーサイドとならず、また途中でMediaFLOからISDB-Tmm(NOTTVの放送方式)へと寝返る姿勢も見せていたソフトバンクモバイルすらも、サービスに対応することはなかった。

 企画・準備段階と実行段階で周囲の環境が大きく変わってしまったこと、これこそが「当初想定していた会員数に至らず」の主な要因と言えるだろう。

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