TENTOで講師を務める教育ITライターの神谷加代氏は、Minecraftには協同、プログラミング教育以外にも優れた教育要素があると説明する。
「Minecraftには詳細な説明書やマニュアルがありません。子どもたちは、何かやりたいことがあったら、それを実現するための情報をネットや動画から取ってきます」(神谷氏)。例えば、子どもが仮想世界に“沖縄風の家”を作りたいと考えたとする。自分で検索キーワードを工夫して画像検索し、探し当てた画像が本当に沖縄の建物なのかどうか大人に質問する。
子どもたちがMinecraft上に作りたいものはリアルに存在し、ゲームをしない大人にも助言を求めることができる。このような、ネットとリアルを駆使して情報収集、情報を取捨選択する過程が非常に教育的であると神谷氏は考える。
Minecraftユーザーの間では、自分が作った建物や街を動画共有サイトで紹介することがブームになっている。子どもたちは、画面キャプチャや、PC画面をスマートフォンなどで動画撮影したものに自分の声で解説を吹き込んでネット上に発信している。「情報の収集と取捨選択、情報発信、プレゼンテーションなど、Minecraftには今の時代にマッチした教育要素がつまっています」(神谷氏)
7月に、Microsoftが教育現場用に機能拡張した「Minecraft in education」を発表した。同社が教育機関への導入を拡大している「Office 365 Education」のアカウントでMinecraftを利用できるもので、今後、学校でのMinecraft活用が進みそうだ。
イベントの基調講演に登壇したゲーム教育研究者の東京大学 助教 藤本徹氏は、Minecraftを教育に取り入れることの意義について説明した。
教育を目的に制作されたゲームのことを「シリアスゲーム」と呼ぶ。シリアスゲームでは、知識習得やスキル獲得が第1目的に置かれ、第2目的としてエンターテインメント性が存在する。藤本氏によれば、今、ゲーム教育で注目されているのは、シリアスゲームよりも、エンターテインメント性が第1目的のゲームを教育に取り入れる「ゲーミフィケーション」の手法だ。
ゲーミフィケーションとは、広告やサービス、システム開発、課題解決のアプローチに、遊びや競争などのゲーム要素を取り入れてユーザーのモチベーションを高める手法だ。教育にゲームを取り入れることもゲーミフィケーションである。
生活や戦闘、モノづくりといったエンターテインメント性が強いMinecraftを教育に取り入れる取り組みは、まさにゲーミフィケーションと言える。世界中の子どもが熱中するゲームを使ってこそ、楽しみながら学ぶゲーム教育の効果が最大化される。
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