公園の管理人は“遊び”に口出さない--nanapi古川氏が語る「コミュニティマネジメント」

 コミュニティサービスでは、ユーザーが集う“場作り”をうまくできるか否かが、その後の成長を大きく左右する。一部の悪質なユーザーを放置していれば、荒らし行為などによって優良なユーザーまで離れてしまうこともある。こうした事態を未然に防ぐために求められるのが、コミュニティを育成し、管理する「コミュニティマネジメント」という考え方だ。

 「コミュニティは8割がユーザーによって作られるので、そのお手伝いをするイメージ。昔よくいた公園の管理人は、掃除をしたり、遊具を整備したりして公園を遊びやすくするけれど、人の遊び方には口を出さない。コミュニティマネージャーはそれに近い存在で、ユーザーにあまり尊敬されない方がいい」


nanapi代表取締役の古川健介氏(左)と、同社コミュニティマネージャーの久間美咲氏(右)

 過去に、学生コミュニティサイト「ミルクカフェ」や、掲示板サイト「したらば掲示板」を運営し、現在は自社でコミュニティアプリ「アンサー」を提供するnanapi代表取締役の古川健介氏も、コミュニティマネジメントの重要性を強く訴える1人。同社では社内に専門職であるコミュニティマネージャーを設けて、日々の運用にあたっているという。

 そこで、数多くのコミュニティサービスに触れてきた古川氏に、コミュニティマネージャーの役割や求められるスキルを聞いた。

コミュニティマネージャーには“マイルドヤンキー”の感覚が必要

 nanapiが運営するアンサーは、匿名で気軽に趣味について語ったり、悩みを相談したりできるアプリ。投稿すると5分以内にコメントがつく“即レス率”が8割を超えることが特徴だ。立ちあげたスポット(スレッド)は2日間で消えるほか、検索もできない。さらに、プロフィール情報も徹底的に簡素化し、ユーザーのフォロー機能もないため、出会い目的などでユーザー同士がつながれない“一期一会”のサービスとなっている。

  • 匿名コミュニティアプリ「アンサー」

 ユーザーは10代が中心で、「ニュース」「恋愛」「学校生活」などのカテゴリ別に好きな話題についてコメントしあえる。特にテーマが設けられていない「ロビー」カテゴリでは、「この気持ちはなんだろう」といった目的のない投稿も少なくないが、それでも数分で10件以上のコメントがつくなど交流は活発だ。声を投稿できる「ボイス」というカテゴリもあり、「ボカロ歌スレ」「誰の声に似てる?」など、大喜利のような特殊な遊び方も生まれている。

 こうしたアンサーならではの“文化”や“空気感”をコントロールしているのが、nanapiでコミュニティマネージャーを務める久間美咲氏。アンサーの開発ディレクターを1年半ほど経験し、4月から現在のポジションについた。主なミッションは、コミュニティという場の整理や、ファンの獲得、ユーザーの声の収集などだ。

 久間氏を抜擢した理由について古川氏は、「僕らPC世代にはある程度、インテリみたいな人が多かったが、いまのスマホ世代は地方のイオンなどにいる“マイルドヤンキー”に近くて、久間はその感覚が抜群に優れていた。人間的にこういうことが起きるよねということは僕も経験として伝えることができるが、さらにその先の細かい性質は彼女の方が理解している」と説明する。

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