ソニー、2015年度は投資の年へ--「B to Cは逃げずにやり抜く」

  • 2014年度連結業績

 ソニーは4月30日、2015年度3月期(2014年4月~2015年3月)の連結決算を発表した。売上高は前年度比5.8%増の8兆2159億円、営業利益は同約2.5倍の685億円になった。モバイル分野が悪化したものの、デバイスを中心に、そのほかの分野は好調に推移した。

  • 2014年度第4四半期連結業績

 課題事業であったテレビ事業は、2014年度で83億円の営業黒字を達成。通期で黒字になったのは2003年度以来11年ぶりとしており、2015年度においても50億円の黒字を見込む。


代表執行役副社長兼CFOの吉田憲一郎氏

 代表執行役副社長兼CFOの吉田憲一郎氏は「過去3年間に渡って実施してきた大幅な固定費削減が黒字化に大きく寄与している」とテレビ事業黒字化の要因を分析する。販売台数に関しては、2014年度の1460万台から2015年度は1150万台まで絞る見通しで、「台数は追わない」戦略を継続する。

 「1年遅れの構造改革」を実施しているモバイル・コミュニケーション分野は、売上高11%増の1兆3233億円、営業利益2204億円の赤字となった。悪化要因は米ドル高の悪影響などが挙げられており、2014年度におけるスマートフォンの販売台数は3910万台。2015年度においては、収益性を重視した高付加価値モデルへシフトし、販売台数は3000万台まで減少する見込みだ。

  • 2014年度セグメント別業績

 吉田氏は「1年遅れになるものの、2015年度は構造改革を実行する年と位置づける。従業員数の3割にあたる2100人を削減するほか、オペレーション費用を2014年度比で3割削減する。この費用削減効果は2016年度からフルに寄与することになる」と話した。

 一方、「投資の年」(吉田氏)と位置づけられているのがデバイス分野だ。2014年度は売上高で前年比23.9%増の9578億円、営業利益は同124億円の赤字から931億円の黒字を達成した。

 「ソニーでは、裏面照射型、積層型のアナログ技術を主体としたイメージセンサを生産しており、これらの生産設備は陳腐化しにくいと認識している。2015年度においても大幅な増収増益となる見込み」(吉田氏)と自信を見せる。イメージセンサに対しては、2100億円の投資を実施する。

 このほか、金融分野では売上高1兆836億円、売上高1933億円となり、過去最高益を記録。ソニー生命の新規契約が好調だったことに加え、各社の業績も順調だったとした。

  • 2015年度連結業績見通し

 2016年3月期の業績見通しは売上高で3.8%減の7兆9000億円、営業利益が3200億円、税引前利益が3450億円、当期純利益が1400億円と予測。吉田氏は「過去7年で15回ほどの下方修正をしており、その反省に立って、下方修正は避けるように配慮していく」とした。

 PC事業からの撤退や分社化など、大きな動きのあった2014年について吉田氏は「新しいことにチャレンジしていくために投資をしようと決めた年。2015年度はそれを実行する、投資の年になる」とコメント。またコンシューマビジネスの位置付けを問われると、「(代表取締役社長兼CEOの)平井(一夫氏)の言葉だが」と前置きした上で「B to C事業は逃げずにやり抜く、やり続ける」と話した。

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