シャープ上期、営業利益2ケタ減も最終黒字に--通期売上高は下方修正

 シャープは10月31日、2014年度上期(4~9月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比1.1%減の1兆3276億円、営業利益は同13.6%減の292億円、経常利益は前年同期の3.3倍になる107億円、当期純利益は前年同期の433億円の赤字から47億円の黒字に転換した。

 シャープ代表取締役社長の高橋興三氏は、「上期は国内での消費税率改定に伴う駆け込み需要の反動や住宅着工件数減少の影響などもあり、デジタル情報家電とエネルギーソリューションで減収。また、電子デバイスの赤字があり減益となった」と説明した。

高橋興三氏
シャープ 代表取締役社長 高橋興三氏

 「売上高、利益ともに公表値を下回ったが、経常利益は前年同期比で大幅に改善して、四半期純利益は黒字転換を果たした。諸施策に着実に取り組み、通期計画の必達を目指す。みんながもっと緊張感を持ってやっていく必要がある。筋肉質化という言葉で表現しているが、計画に届かなくても収益を確保する体質に変えている。チャレンジ精神を植えつけていくことに力を注ぎ。若い人たちから想定以上に“こんなことをしたい”という要望が出てきている」(高橋氏)

 部門別業績は、プロダクトビジネスの売上高が前年同期比2.2%減の8031億円、営業利益は同14.9%減となる309億円。そのうち、デジタル情報家電の売上高が同0.6%減の3327億円、営業利益が8.8倍となる75億円となった。

 液晶テレビの販売金額は同2.5%減の1891億円、販売台数は同2.4%減の360万台となった。携帯電話の販売金額は同1.8%減の859億円、販売台数は同0.5%減の241万台。

 液晶テレビでは、北米と中国で販売台数を伸ばすものの、アジアの新興国、中近東での景気減速や政情不安、国内の消費税による駆け込み需要反動の影響から台数、金額ともに前年を下回ったという。

 「液晶テレビの4K対応やクアトロンプロなどの大型、高精細モデルの販売を強化する。中国では4Kビジネスが加速しており、欧州でも構造改革で体制が大きく変わったことで収益性が改善されるだろう」とした。

 携帯電話では「IGZO液晶搭載や狭額縁デザインのEDGESTを国内3キャリアへ展開するなど、高付加価値スマートフォンの市場投入やコストダウン推進効果が損益に寄与。売上高は前年同期を割り込むものの増益を確保した。通信キャリアとの連携強化により特長端末の創出を図る」という。

4~9月の連結業績概要
4~9月の連結業績概要(シャープ提供)

消費増税で空前の販売台数

 プロダクトビジネスのうち、健康・環境の売上高は前年同期比1.8%増の1628億円、営業利益が同19.8%減の77億円。「消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の反動、天候不順の影響がある中で前年同期を上回る売上高を確保。特に3月の販売台数は空前のものとなり、4月以降もその在庫を補充するといった動きがあり、前年実績を上回った。海外の空気清浄機が好調であった。地産地消の推進と営業体制強化、ASEAN(東南アジア諸国連合)や新興国向けのローカルフィット商品の推進により、為替コストの極小化を図る」

 エネルギーソリューションの売上高は同15.0%減の1429億円、営業利益は98億円の黒字から2億円の赤字に転落。「国内住宅着工件数の減少や米国太陽光発電開発子会社のプロジェクト資産評価減の形状もあり、営業赤字となった。エネルギーマネジメントシステムの販売強化などにより、下期の黒字化を目指し、年間計画の必達を目指す」とした。

 ビジネスソリューションの売上高は同3.9%増の1645億円、営業利益は同0.1%減の159億円となった。

 「デジタルサイネージは本体の台数だけでなく、コンテンツオペレーションなどのサービスを含めたトータルソリューションとして展開していく。MEMS(Micro Electro-Mechanical System:微小電子機械システム)ディスプレイは業績に寄与するには2~3年という期間で考えたい。高温や低温といった環境での利用を想定している。フリーフォームディスプレイは2017年以降にビジネスになっていくだろう」

 2020年の東京五輪開催に向けては「8Kの促進にも取り組んでいきたい。インフォメーションディスプレイよりもボリュームが見込める放送の視聴に力を注ぎたい」と述べた。

中国スマホメーカー開拓進める

 デバイスビジネス部門の売上高は前年同期比2.5%減の6107億円、営業利益は同31.8%増の183億円。そのうち、液晶の売上高は同3.7%減の4609億円、営業利益は前年同期の2.4倍となる208億円となった。電子デバイスの売上高は前年同期比1.3%増の1497億円、営業利益は52億円の黒字から24億円の赤字に転落した。

 液晶ビジネスでは、亀山第2工場の中小型の構成比が7~9月実績で40%に高まり、「足下では50%となっている。下期も平均50%を見込み、これが収益拡大に寄与することになる。液晶全体では上期に中小型液晶比率は7割だが、これが下期にはさらに高まり、4分の3が中小型液晶となる。収益のほとんどが中小型によるもの。値崩れは感じていない」と説明した。

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