FacebookザッカーバーグCEOが来日--創業、後悔、日本への思いを語る - (page 2)

井指啓吾 (編集部)2014年10月16日 19時38分

 いろいろな場所を訪れるのは本当に面白いです。

 米国系企業は、なにかを作れば世界中の人々がそのまま使ってくれるのではないかと、現地に出向かないで開発をしてリリースしてしまう傾向にあると思います。今回、インドを訪れましたが、100言語以上が話されている国で、驚きました。

 たとえインターネットにアクセスできたとしても、具体的にコンテンツが読めなければインターネットの価値はほとんどないことになります。これはインド独自の状況ですが、そういったものにも応えていかなければならないと感じました。

  • ザッカ―バーグ氏のFacebookへの投稿

 また、インドの小さな村を訪れましたが、つい最近、インターネットにアクセスできるようになった村でした。衛生面などでの問題は抱えていますが、インターネットへのアクセスが叶ったことで基本情報が提供されるようになった。

 世界を見ると、エボラ出血熱が発生しています。私の妻は医師で、カリフォルニアの病院に勤めています。私たちはよく医療問題について話題にすることがあるのですが、実際にインド郊外の村を目の当たりにすることによって、これは本当に深刻な問題だと実感しました。そして帰国前に、米疾病予防管理センター(CDC)に寄付することを決めました。

――ここ10年間、Facobookはいろいろな過ちを犯してしまったと思いますが、どれが一番悔やまれますか。

 そうですね……(笑)。……一番思い浮かぶのは、なかなかモバイルに移行しなかったことです。ペースが遅すぎたということでしょうか。それは日本での経験から学んだと言えます。日本は我々にとって、常にモバイルで最先端を行っていた。多くの人々がFacebookをモバイルで使っています。会社というのは、常に使われているプラットフォームに依存してしまい、新しいものに挑戦しない罠にはまってしまうことがあります。

 我々は2011年、2012年頃、新しいことを実行しなければならないと気付き、モバイルに注力しようと考えました。

――モバイルの次は何がくるのでしょうか。

 Facebookは2004年に立ち上がりました。そして2003年頃、BlackBerryとPalm Treoが、一番最初の主流スマートフォンとして登場しました。SNSとモバイルは同じ世代を介して育っていると言えましょう。

 新しいコンピューティングプラットフォームは10~15年後には出てくると思います。たとえばPCや携帯電話が主流のプラットフォームになっていますが、どんどん変わってきます。

 買収したOculus VRにおいて、Facebookが次の世代のプラットフォームにおいて大きな役割を果たせるようにしていきたいと考えています。

 まだ初期段階で、これから小型化されていきますし、世界でウェアラブルデバイスとして使われていくことを願っています。

――なぜ日本はFacebookにとって重要な市場なのでしょうか。

 日本はFacebookと長きにわたっての深い関係を持った国です。日本では、求められているプロダクトが洗練されています。日本で受け入れられるためには、高い品質を担保しなければなりません。それはやはり、日本の文化であり、職人肌の上に製品が出回っていて、それに慣れ親しんでいる日本はハードルが高いと言えます。

 日本では4年前に事務所を設立し、エンジニアを抱え、日本向けのプロダクトを開発しています。たとえば、検索機能を日本語でスムーズに使えるようにしたり、QRコードを作り込んだり。また、関西弁の機能など、文化として日本に根付いたものを高い品質で提供したいと考えています。

 2008年、日本語向けにFacebookを提供しました。当時は15万人が使っていたかと思います。そして6年が経ち、2200万人が毎月使ってくれています。

 今後も新たなサービスを、我々が(より多くの人々に)影響を与えられると思う規模で提供できるまでの道のりは長いと思いますが、どんどんプッシュして前進していきたいと思います。

――最近、かなりのエンジニアリングと時間を日本向けの開発に費やしてきました。その結果、非常に面白いツールや取り組みなどが発表できています。

 今日は初めて米国外で、新製品(災害時情報センター)を発表することになります。なぜ東京なのかというと、日本での経験をもとに考えたサービスだから。東日本大震災の後、我々が認識したのは、多くの人がFacebookで安否確認をしていたこと。自分の大切な人が安全かどうかを知りたいという人間の心理なのです。

 それ以降、世界中で起きた自然災害で同じようなサービスを提供しました。たとえば最近、サンフランシスコで小さな地震がありましたが、最初に私の友人がしたことは大切な人の安否確認でした。

 自然災害は今後も世界中で続くと思います。次に大きな災害が起こった時に、皆さんがFacebookを使って、自分の大切な人たちに安否を伝え、彼らの安否を確認できるサービスを作りました。その出来には満足しています。誇りに思っています。被害に遭われて大変な状態の人々の役に立てるサービスを提供できることは本当に嬉しいし、また東京で発表できることも非常に嬉しいです。


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