Square決済、日本では「現金」が中心--水野代表が語る1年目

 「率直に言って、非常に良い感触を得ている」――米国発のモバイル決済サービス「Square」が日本に上陸して1年が経った。Twitterの創業者であるジャック・ドーシー氏が手がけたこともあり、日本参入時には大きな話題となった。Square日本法人の代表である水野博商氏は1年目を終え手応えを感じている。

  • Square日本法人の水野博商代表

 Squareは、切手サイズの端末「Squareリーダー」をスマートフォンやタブレットのイヤホンジャックに差し込み、専用アプリ「Squareレジ」をインストールすることで、モバイル端末をクレジットカードリーダとして使えるサービス。高額なカード決済機器を導入するのが難しい小規模な店舗でも、支払いの際にカード決済に対応できるようになる。代金が最短で翌営業日には銀行口座に振込まれるのも特長だ。現金での支払い情報なども登録できる。

 Square リーダーは980円と低価格だが、商品パッケージに同梱されている専用のコードをウェブサイトで入力することで、指定の銀行口座に特典の1000円が振込まれる。つまり実質タダだ。さらに同社のウェブサイトだけでなく、Apple StoreやAmazon.co.jp、ローソンやビックカメラなどと提携し、どこでも端末が手に入るようにした。具体的な数字は明かさなかったが、この大規模な“バラマキ戦略”が奏功し、ユーザーは数万規模まで拡大しているようだ。

  • モバイル端末をクレジットカードリーダに変える「Square」

 首都圏が最も多いが、京都や長野県・白馬のスキー場など訪日外国人が多い観光地や、フリーマーケットやコミックマーケットなどこれまでカード決済が難しかった場所でも引き合いがあるという。業態は飲食店が約3割を占め、小売店では宝飾、家具、ファッションなど単価が高い商品の決済が多いそうだ。

 顧客規模はメインターゲットの中小企業や個人店舗が中心だが、「大企業でも使われ始めている」と水野氏は語る。2013年10月にはユニクロ銀座店内の一部で導入されたほか、最近は大手CDショップチェーンの「タワーレコード」にも採用された。それも店頭ではなく、イベントの物販スペースでの決済手段としてだ。当初はテスト導入だったが、今では年間1000以上のイベントで採用されているという。

  • 日本での利用状況

 ところで気になるのは、導入した店舗で実際にカード決済が行われているかということ。日本はカード普及率は高いが、利用率は1割程度しかない“クレジットカード後進国”と言われている。この点について水野氏からは「(Squareの)決済件数は、現金がカードの3倍」という答えが返ってきた。ただし、これは想定内のようで、日本ではまず導入店舗を増やし、それから徐々にカード決済の比率を上げていきたい考えだという。

 カード決済の普及という意味で、KDDIが5月21日に開始した「au WALLET」はそれを加速させる可能性を持っている。MasterCard加盟店であればどこでも使えてポイントが貯まるプリペイド型の電子マネーカードサービスで、スマートフォンから残高確認やチャージができる。登録に必要なのはau IDのみで、クレジットカードのように審査や年会費がないため、学生でも手軽にカードを持つことができる。au WALLETはもちろんSquareでも利用可能だ。

 水野氏は、au WALLETについて「日本は現金社会と言われるが、現金が便利だから使っているというよりも、店舗でカードを使うことに抵抗感を持っている方が多い。(au WALLETによって)いつも現金を使うかのようにフランクにカードを使う状況に少しずつ変わっていくのであれば、私たちとしては歓迎したい」とコメント。さらに「何か一緒にやれないかラブコールしてみようかな」と、冗談交じりに語っていた。

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