サムスンの弁護団は米国時間11月19日、Appleとの損害賠償訴訟で審理を無効とするよう要請した。Appleの弁護士が、米国のテレビ製造業が衰亡したのは企業が自社の知的財産を外国の企業から適切に保護しなかったことが原因だと述べたことを受けての行動だった。
Lucy Koh判事はサムスンの要請を退けたが、同社はApple側の弁護士を務めるHarold McElhinny氏の発言になおも異議を申し立てた。代わりにKoh判事は、審議開始のために退廷した陪審団を30分も経たないうちに呼び戻した。同判事は陪審団に対し、企業の本拠地や人種などの問題に注意を払わないよう指示した。
「この件が審理無効にまでつながるとは思わないが、今後さらなる問題が生じるのを避けるには何らかの改善措置を講じるのが妥当かもしれない」と、Koh判事は述べた。
McElhinny氏は19日の最終弁論で陪審団に対し、サムスンが知的財産権侵害で適切な制裁金を科されなければ、サンフランシスコのベイエリアと米国全体の経済は損害を被るだろうと警告した。同氏はこの状況を、外国の企業から自社の知的財産を保護しなかったために廃業を余儀なくされた米国のテレビメーカーになぞらえた。現在、テレビ製造の大部分は米国外で行われているとMcElhinny氏は述べた。韓国に本拠を置くサムスンは現在、圧倒的なシェアを持つ世界最大のテレビメーカーだ。
McElhinny氏は次のように述べた。「法律違反の代償が少額の罰金で済まされるなら、われわれの経済は消えてなくなる。(中略)サムスンによるコピー行為は成功だったということになる」
だが、Bill Price氏をはじめとするサムスンの弁護団はMcElhinny氏の例えと、この一件が人種およびアウトソーシングについて問題を起こす可能性について異議を唱えた。Price氏は、これによって陪審団が偏見を抱き、サムスンとこの問題をこれまでとは別の視点で捉えてしまうことになりかねないと指摘した。
「われわれは誰もが同じことを考えたし、(McElhinny氏も)そうなることはわかっていたはずだ」とPrice氏は述べ、McElhinny氏の発言は人種差別的だと付け加えた。
これに対しMcElhinny氏は、自身の発言は正当であり、テレビ業界の歴史はよく知られていると述べた。同氏は、サムスンや他のアジアのベンダーが米国のテレビ業界を破滅に追いやったと直接的に非難することはなかったが、知的財産権が尊重されなければ同様のことが再び起こり得ると示唆した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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