NTTグループの“第3のアクセス”Wi-Fi戦略--クラウドで新価値創出へ

 5月29日~31日まで開催中のワイヤレス&モバイル技術とソリューションの展示会「ワイヤレスジャパン2013」。初日となる5月29日には、NTTブロードバンド・プラットフォーム(NTTBP)の代表取締役社長で、無線LANビジネス推進連絡会の会長でもある小林忠男氏が登壇。固定、モバイルに続く“第3のネットワーク”として注目される、Wi-Fiネットワークに関する同社の取り組みを解説した。

  • NTTブロードバンド・プラットフォーム代表取締役社長の小林忠男氏

 小林氏はまず、Wi-Fiネットワークの特性について説明。無線でありながら移動しながらの利用には向いていないなど、モバイルネットワークと比べて弱点があると語る。一方で、高速・低遅延であることや、高い精度で位置情報を特定できること、ライセンスが不要なためさまざまな機器で利用できることなど、多くのメリットがあるとした。また、従来はWi-Fiの利用を増やす上で、対応端末をいかに増やすかが課題であったが、現在はスマートフォンに標準で搭載されているため、そうした問題も解消しているとのことだ。

 Wi-Fiは、固定通信ともモバイル通信とも異なる特性を持つことから、NTTグループではWi-Fiを用いた公衆無線LANサービスを“第3のアクセス”と位置付けているという。ただし“第3”と呼ぶのには、他にも理由があると小林氏は説明する。

  • NTTグループでは、Wi-Fiによる公衆無線LANサービスを“第3のアクセス”と位置付け強化している

 公衆無線LANサービスは当初、PCで使うことを想定しており、駅やカフェなどで高速なネットワークを提供するために整備されてきた。しかし現在では、スマートフォンの普及によって急増するモバイルトラフィックをオフロードするために利用されている。さらに今後、NTTBPでは敷設したWi-Fiのネットワークと、クラウドを活用した新たなサービスを提供しようとしている。“第3のアクセス”には、Wi-Fiネットワーク活用の3段階目の取り組みを拡大したいという狙いもあるようだ。

Wi-Fiとクラウドで新たな価値を創出

 小林氏によると、NTTBPは現在3つの事業を展開しているという。1つは、敷設したWi-Fiネットワークをさまざまな事業者にレンタルする、回線の卸売事業だ。同社のWi-Fiアクセスポイントは、1台で同社と契約する複数事業者のWi-Fiスポットとして動作する、共同型のアクセスポイントとなっている。そのためユーザーからは、その場所にあたかも複数の事業者のアクセスポイントが存在しているかのように見えるのだという。こうした仕組みを取り入れることで、事業者ごとにアクセスポイントを設置する必要がなくなり、電波の利用効率がよくなるとのことだ。

 また、NTTBPは現在、約12万カ所にWi-Fiのアクセスポイントを設置しており、2013年度中に16~17万まで拡大する予定だという。2012年に急速に数を増やしたこともあり、多くのアクセスポイントは2.4GHz帯と5GHz帯、さらにIEEE802.11nにも対応する最新の装置になっているそうだ。

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