パイオニアが三菱、NTTドコモとの協業を強化--カーエレのビジネスモデルを変革

  • 2013年3月期通期連結業績概要

 パイオニアは5月13日、2013年3月期通期(2012年4月~2013年3月)の連結決算を発表した。売上高は4518億円(前年比3.5%増)、営業利益は60億円(同52.0%減)となった。OEMカーナビゲーション、市販カーオーディオが伸長したが、販売管理費の増加、原価率悪化などにより、減益となった。また構造改革費、投資有価証券評価損の計上により、当期純損失は196億円(前年37億円の黒字)と赤字になった。

 こうした背景を受け、同社ではカーエレクトロニクス事業を中心に据えた2013年度、2014年度を見据えた中期事業計画を策定。あわせて三菱電機、NTTドコモとの協業をより強めた資本業務提携を発表した。


パイオニア代表取締役兼社長執行役員の小谷進氏

 事業の柱となるカーエレクトロニクスは、売上高3126億円(同15%増)、営業利益98億円(同4.9%減)となった。となった。売上は順調に伸びているが、カーナビゲーションの市販市場が大きく落ち込み、ディーラー向けオプション用の数量が上がってきたことがマイナス要因だ。代表取締役兼社長執行役員の小谷進氏は「ディーラーオプションはものすごく伸びているが、取り付け無償や半額など、プロモーションとして使用される傾向があり、単価そのものは上がっていない。これが収益が悪化した要因だったと思っている。この傾向は一時的なものではなく、今後も続いていくだろう。そのために今後は市販市場の活性化が必要になる。ユーザーに魅力を感じていただけるようなOEMにはない斬新なモデルを提案していくのがパイオニアの使命」とした。

 市販ナビ市場の活性化を目指すモデルとして、5月に発表した「サイバーナビ」の新商品を紹介。「世界初、業界初の新コンセプト、新技術を搭載した商品を開発することによって、国内市販市場を維持して行きたい」と意気込みを見せた。

 一方ホームエレクトロニクスでは、DJ機器が好調に推移しているが、光ディスクドライブ関連が、BDレコーダーなどの出荷落ち込みとともに大きな落ち込みを見せた。「前年に比べ45%程度売上が落ちている。ただ光ディスクに関しては、多くの有効特許を保有しており、カーエレクトロニクス商品の中でも使用している。こうした面から見ると光ディスク事業を維持することは重要。収益を確保できる範囲でこの事業を続けていきたい」と現状を話した。

 発表された中期事業計画では、カーエレクトロニクス市場の急激な変化や、光ディスク事業の落ち込みに対応するため施策が盛り込まれた。

  • 戦略アライアンスについて

 カーエレクトロニクス事業では、ハード、ソフトに加え情報サービス面を強化、進化させたビジネスモデルへと事業を変革し、価値を創造すること、原価の低減の推進と収益力の強化などが織り込まれており、その一環として三菱電機、NTTドコモとの資本業務提携強化を発表。両社との提携により、次世代車載機器での競争力確立やクラウド情報と連携した利用者向けサービスの地位確立を目指す。

 またモジュラーデザインの本格導入より、開発、生産効率をアップさせる施策も発表。すでに導入されており、効率アップを実現しているとのこと。効果が出てくるのは来期以降とした。

  • 数値計画

 DJ機器を主軸に据えたホームエレクトロニクス事業では「売上拡大に依存しない、経営貢献度の高い事業に集約することで、堅実な成長をさせていくこと」を表明した。7月にホームAV事業、10月に電話機器販売会社をホームエレクトロニクス製品販売会社に統合することで、スリム化させるほか、光ディスク事業では、7月をめどに事業体制を2013年度比で40%縮小させる方針を明らかにした。

 加えて「次世代コア事業に関しては、多くの事業を同時進行してきたが、多くのテーマを進めていくことは難しい。有望事業に資源を集中させ、早期収益化を目指す」として、有機EL照明事業、医療・健康機器関連事業を重点テーマに据えていくことを発表。有機EL照明は、2014年の本格的事業化を目標に据えている。

 パイオニアでは、この事業計画の推進により、2015年度に売上高5400億円、営業利益200億円、当期純利益110億円を目指す。

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