田中社長「auモメンタムは完全回復」--スマホ800万台目指す

 KDDIは4月25日、2012年3月期(2011年4月~2012年3月)の通期連結決算を発表した。売上高は前年比4.0%増の3兆5720億9800万円、営業利益は同1.2%増の4776億4700万円、経常利益は同2.4%増の4511億7800万円、純利益は同6.5%減の2386億400万円となった。

  • 2012年3月期の通期連結決算

 移動通信事業におけるARPU(1契約当たりの月間平均収入)の減少による減収があったものの、端末販売台数の増加や固定通信事業におけるグループ会社の収益拡大などにより増収となった。利益面では、移動通信事業の減益を固定通信事業の大幅な増益で補い、営業利益、経常利益ともに増益となった。

 純利益については、減損損失の減少や東日本大震災による損失引当金の戻入によって特別損失が大幅に改善したものの、前期にジュピターテレコムの株式を保有していた中間持株会社4社の清算にともなう税務上の整理損などが発生したことや、法人税率引き下げにともなう繰延税金資産の取崩しによる法人税の増加などにより減益となった。

スマホ販売800万台目指す

 2011年3月期のスマーフォン販売台数は109万台だったが、2012年3月期は563万台を販売し、全端末販売台数の41%を占めたという。KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は、2013年3月期の販売目標として800万台を掲げ、全端末販売台数の7割をスマーフォンにしたいと意気込む。

 また、同社の4つのKPI(重要経営指標)である「au解約率」「MNP」「純増シェア」「データARPU」がいずれも大幅に改善したと説明。解約率は前期の0.73%から0.66%に改善したほか、純増シェアは17.1%から27.2%に増加した。さらに6カ月連続でMNP純増数ナンバーワンを達成したほか、ARPUも前年同期と比べて10.3%の伸びとなった。

  • KDDI代表取締役社長の田中孝司氏

  • 2012年3月期の振り返り

  • 2012年3月期のスマートフォン販売台数

 田中氏はこれらをデータを紹介し「期初に設定した4つのKPIが劇的に改善した。auモメンタムは完全に回復したと認識している」と自信を見せる。また、2011年10月から取り扱いを開始したiPhoneの影響については「明らかにiPhoneの貢献は大きいとは認識しているが、営業力の向上も合わせてあった」とした。

3M戦略の初期動向は順調

 「マルチデバイス」「マルチネットワーク」「マルチユース」の3つの頭文字からなるKDDIの成長戦略である「3M戦略」についても語られた。

  • 「auスマーパス」の契約数推移

 同社は3M戦略の第1弾として、500本以上のアプリ、クーポン、10Gバイトのストレージ、セキュリティサービスなどを月額390円で利用できる「auスマートパス」を3月1日から提供しているが、会員数はサービス開始1カ月で50万人を突破しているという。

 また、KDDIがFTTH/CATV各社と連携し、指定の固定通信サービスに契約することで、最大2年間スマートフォンの月額料金を1480円割引く「auスマートバリュー」についても、3月末時点で66万のau契約、また44万の世帯が固定通信サービスに契約しており、順調に推移していると初期動向を評価した。

ソーシャルゲーム市場は“健全な発展を”

 2012年に入り、ソーシャルゲームの利用環境整備に向けた動きが各社で広がっている。NHN Japan、グリー、サイバーエージェント、ディー・エヌ・エー、ドワンゴ、ミクシィのプラットフォーム事業者6社は、ソーシャルゲームを含むネットワークゲーム市場の健全な発展と、ユーザーによる適正利用の推進を目的とした連絡協議会を3月21日に設置。リアルマネートレード(RMT)対策の強化や、青少年(18歳未満)ユーザーのゲーム内課金の利用限度額を制限する取り組みなどを実施している。

 KDDIはグリーに出資しており、こういった動きについて田中氏は「(KDDIは)グリーの株主ではあるが、基本的に経営はグリーが行なっている。また、出資率も6%強であるためそれほど大きな影響力はない。ただし、業界としていろいろな課題が出てくるのは決して望ましいことではない。自主的にそういった問題が出てこないような仕組みやガイドラインを作ることで、健全に発展することを望んでいる」とコメントした。

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