このような経緯説明の後、記者からの質問に答えた。以下がその主なやり取りだ。
最終的に決めたのは今日の15時。今日までにいろんなところからオファーがあって、最終結論が出るということがあったので、それを待っていましたけれども、具体的な案は出なくて、このまま自力で事業を継続し資金繰りが破綻した場合、エルピーダの企業価値は著しく毀損し、それともう一つは長期的なキャッシュフローを見たときにはかなりリスクがあるということで、結論を出した。今後についてはあるべき姿についてこれから詰めていきたいと考えております。
資金繰りについては3月末までは大丈夫だと我々は考えておりました。しかし、その先を見てみますと、やはり資金がショートしてくるだろうと、並行してリファイナンスは非常に難しいと理解しておりましたので、いまがベストのタイミングではないかと判断して申請しました。
そこについては具体的にお答えすることはできません。
半導体が非常に苦しくなっていることは、日本の半導体シェアを見てもらえばみなさんよくおわかりになると思います。日本の占有率は過去70~80%いっていたのに、いまは15%ぐらいしかない。一番大きな部分というのは、為替がやはり円高に振れていること。これは、我々の会社で見ますとリーマンショック前と今とでは、韓国のウオンと70%もの違いになるんですね。為替での競争力が完全になくなってしまった。70%の差はいかんともしがたいです。エルピーダのDRAMの利益率は、リーマンショック前よりも圧倒的にいいんです。やはり1年間で起きた為替変化は一企業の努力ではカバーしきれない。そのぐらいのところまで来ていると思います。
私自身はある程度会社の行く末をちゃんと見届けなければ、ということを考えています。責任とって辞めなさいというのは非常に簡単なんですけれども、やはり経営者としてきちんとしてから覚悟を持ってやっていきたいと思っています。
DRAMを日本で作る意味があるかどうかは、あまりにも性急な話で、たとえば為替が1年後にどう変わるんですかって質問されたら、おわかりになりますか?(と、質問した記者に問いかけ、記者は「なかなかわからないですけど為替は厳しい状況が続くんじゃないでしょうかね」と答えた)。その程度しかわからないでしょ。為替についてはわからないんです。
DIP型(破綻企業の経営陣が退陣せずに更生計画などに関与する会社更生手続き)というのは会社更生においても経営陣が退陣せず、引き続き経営を担って債権者の方々へのご迷惑を最小限に抑えるというもので、本件もまさにこのとおり。これは、半導体業界の専門制にあります。何もしらない素人の管財人が再建できるのかということを考えると、引き続き担っていただく方がいいというわけです。
DRAM業界で生き残っていこうとしたらシェアとしては30%ぐらいないとだめでしょう。その算段はいまは申し上げられません。投資金額については年間400億円ぐらいかかるでしょう。ただし、リーマンショック以降にエルピーダはローコストの設備を有したため、今後大きな設備投資が必要になるということは考えづらいです。
いろいろなオファー(その内容は話せない)があるということで、私たちは期待していたのだが、残念ながら具体的な話にはならなかった。
いまはそれを言っても負け惜しみになりますので。経営判断が誤っていたと思いますけれども、いまほど為替が円高に振れることは考えられなかったです。
今回の円高もさることながら我々の売上の85%~90%は海外。利益率が高くても売上が極端に落ちたということが我々の経営を圧迫しました。
たぶん技術を見ていただければよくわかると思うのですが、20ナノメートルのDRAMをまともに作れる企業は世界にエルピーダともう1社しかいないんです。30ナノぐらいから技術が変わってきており、世界中の顧客がエルピーダ頑張ってくれと言っていることも事実です。更正法の適用を申請したことについても、世界中の顧客から頑張って再生させて欲しいといわれ、あなた方の製品がないと我々は製品を作れないということをおっしゃっている顧客がほとんどです。
我々の進んでいる道を見ていただいて、言葉では何とでも言えますので、行動を見て欲しい。みなさんは常に時間だけが勝負のような記事の書き方をしているんですけれども、たとえば、我々がいろんなところと提携の話などを進めるとみなさんがすぐ記事を、我々がまだ何も決まっていない、相手と秘密事項の契約も結んでもいないのに、どこからか聞いてきた話をすぐに記事にしてしまう。そういうことがですね、どれだけ我々の提携関係を阻害しているか。日本の会社は知りませんけれども、世界中の会社の人たちは、そんな記事が載ったらもう提携の話はしないです。みなさんも、提携の話だとかそういうことはですね、もっときちんとしたデータなどがわからないうちにですね、どんどん記事を書くということは、ある意味では、日本のメディアの人たちは相当レベルが低いと思います。
いまは考えておりません。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス