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ソーシャルマーケティングにブランドコントロールは御法度 - (page 2)
5年前のファッションとECを巡る状況に近い
企業はマーケティングを考える上で、ソーシャルメディアの活用は欠かせない時代を迎えている。「ただ、ソーシャルメディアでのブランディングは矛盾を感じる」と田端氏は言う。
これに熊村氏も同調した。「上から情報を落とすブランドコミュニケーションはソーシャルメディアではやりにくい」。企業のブランディング戦略は、基本的に企業側からテレビCMなどを通じて、ブランドメッセージを一方的に伝えるコミュニケーションが中心だった。ところが、ソーシャルメディアではユーザー同士で、好き勝手にそれぞれが持つブランドに対するイメージを語っており、「ボトムアップでブランドが形成される」(熊村氏)。
だから、企業側でブランドメッセージをコントロールしてきたこれまでのブランディング戦略と、ソーシャルメディアの間には矛盾が生じるわけだ。もちろん、コントロールすることが、すなわち悪ではない。自社で掲げるブランドイメージに基づく商品作り、その商品の販売手法、すべてはコントロールの上に成り立っている。多くのブランドはそうやって作られてきた。ただ、「すべてをコントールしたいという考えは、ソーシャルメディアと相性が悪い」と田端氏は指摘する。
では、ブランドを強く意識する企業はソーシャルメディアを活用すべきではないのだろうか。これを語るのが3つ目のテーマ「ブランド企業とソーシャル活用」である。
強いブランドを持つ企業はソーシャルメディアを活用すべきではない? これに対する2人の答えはノー。
田端氏はソーシャルメディアの利用が広がりつつある現状を、「5年前のファッションとEC(電子商取引)サイトを巡る状況に近い」とした。5年前は、「試着もできない。触らなければ素材感も伝わらないアパレルは売れるわけがない」と思われていた。
ところが時代は変わった。アパレル専業のECサイト「ZOZOTOWN」は急速に成長し続けている。「銀座に旗艦店を持つようなアパレルメーカーでもECを展開しない企業は少ない」(田端氏)。
それと同じことがソーシャルメディアでも起こるというのが、2人の考えだ。既に有力な企業・ブランドはこぞって、ソーシャルメディアの活用を始めている。コンデナスト・グループにおいても、VOGUEのウェブサイトへの流入数でソーシャルメディア経由が最も多くなる日は珍しくないという。田端氏は、そうした経験からも「(ソーシャルメディアを)やらない選択肢は危険」だと主張した。
野球でいう私設応援団をソーシャルメディア上に作る
ただ、ソーシャルメディアを活用する上では、ブランドコントロールに対する意識を多少なりとも変える必要がある。ソーシャルメディアをマーケティングに活用する上で必要なのは、「コントロールしない部分を残して、消費者からの意見を許容する姿勢」だと熊村氏は見る。
ソーシャルメディア上で消費者から寄せられたブランドに対するイメージが、たとえ自社で考えるブランドイメージと差異があっても、真っ向から否定するのではなく、「そういう見方もあってもいい」と受け入れる姿勢が必要だとの考えである。どこまで受け入れるかの線引きは難しいが、自社で思い描く“自画像”を守るのに必死で、プライドが高く嫌な奴、と思われるのは避けたいところだ。
リーバイスでは、「ブランドを中心に衛星のように消費者が作るコミュニティが点在するような世界を作り上げていきたい」と、熊村氏は言う。自社でブランドメッセージを発信しつつ、周りではリーバイスのファンが形作る小さなコミュニティでそれぞれが持つリーバイスに対するイメージを語る。「野球の私設応援団のようなイメージ」(熊村氏)。
ブランドメッセージをどれだけ広く撒けるかではなく、どれだけ周辺でブランドについて語ってもらうか。そんな考えを持つことも、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する上では肝要ではなかろうか。
最後に熊村氏は「(ユーザーが)いきなり殴り掛かってくることはない。(ソーシャルメディア上でも)堂々と構えていればいい。消費者がブランドと接する上でソーシャルメディアという選択肢は確実に増えている」と、恐れることなく、ソーシャルメディアをマーケティングに活用して欲しいと訴えて、講演を締めくくった。
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