日本は輸出する国へ--アプライド マテリアルズのスプリンターCEOが語るクリーンエネルギー

加納恵(編集部)2009年06月02日 21時52分

 半導体や太陽電池の製造装置の販売などを手がける、米アプライド マテリアルズ。社長兼CEOであるマイケル・スプリンター氏が来日し、日本におけるクリーンエネルギーの役割や将来像を語った。

 アプライド マテリアルズは、2006年から太陽電池製造装置分野に進出し、クリーンエネルギーのリーディングカンパニーになっている。現在は「2010年までに1ワット当たり1ドル」を目標に掲げ、技術開発に取り組んでいるとのことだ。率いるスプリンター氏は、同社の太陽電池製造装置事業について、オバマ大統領へも提言した経験を持つ。

 スプリンター氏は日本の太陽電池市場を「ソーラー業界で長い間開拓者の地位を築いてきた。これは京セラやカネカ、シャープなど先見の明を持つ企業によるもの。30年以上も前から商品化し、今日世界のどの国よりもたくさんの太陽電池を生産している」と評価した。

 化石燃料からクリーンエネルギーへの転換を推進する背景については、「急激に成長するアジア経済がこのまま成長しつづけると2030年には、アジアにおける電力量は現在の2倍必要になる。太陽電池や風力などを利用せず、化石燃料をエネルギー源としていたのでは、CO2の発生率は50年後に今の2倍になり、深刻な地球温暖化の問題が発生するだろう」と必要性を説く。化石燃料の価格高騰と気候変動という2つの脅威に打ち勝つには、クリーンで安全な代替エネルギーの開発が不可欠だという。

 急激な電力量の増加とCO2排出量の抑制という問題を解決できると期待される太陽光発電。日本における優位性をスプリンター氏は「早い時期からソーラーエネルギーを導入してきた経験、コンパクトで複数のエネルギー源から電力を獲得できる効率的な送電網の配備、半導体における非常に大きな経験があること」と分析する。

 一見すると無関係に思える太陽光発電と半導体だが、スプリンター氏によると「ソーラーと半導体の共通点はいろいろある。例えばどちらもシリコンを使っていること、似たような製造プロセスを経て生産されること、いかに電子を効率的に動かすかが重要であること」と言う。さらに「どちらも経済の法則によって支配されているため、作れば作るほど安くなる」と続けた。

 また、経済環境からも太陽光発電を採用するメリットはあると言う。「太陽光発電は、経済的なチョイスとしても非常に賢明だ。従来の電力に比べ1MWあたりに創出する雇用は一番多いと言われている。それもハイテク、ハイエンドの製造業が必要になるため、まさに日本が必要としているさまざまな職種の雇用が生まれるはずだ」とのこと。

 スプリンター氏は、太陽光発電が脚光を浴び出した現在を「原材料を燃やして必要なエネルギーを満たすのではなく、エネルギー危機を乗り越えるような新たな手段が作り出す時代が始まる」と評する。こうした中、30年以上にわたる製造開発の歴史を持ち、早期に政府の優遇措置などを導入した日本においては「日本のエネルギーは今まで輸入に頼ってきたが、太陽光発電に関する技術力を持てば、エネルギーの輸出国に変わっていくことも可能だと思っている」とした。

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