FujiSankei Business i.
2008/12/26 11:00
2009年春闘の賃上げ要請に向けた労働側の議論が本格化している。連合が8年ぶりのベア要求などを柱に積極的な賃上げ要請に乗り出したのを受け、自動車総連や電機連合など来春闘の主力となる基幹組織が相次いで、前年を上回る賃上げを要求する方針を固めた。ただ、世界的な景気悪化で、製造業の多くが減産を強いられ、正規・非正規の違いを問わない雇用問題も顕在化しており、労使の主張には深い溝が残ったままだ。
自動車総連は今月17日の中央執行委員会(中執委)で、4000円以上の賃上げを要求する執行部案を決定した。賃上げ要求は4年連続だが、経営側が賃上げ容認に転じた08年春闘の際に掲げた1000円以上を大幅に上回る水準となった。
同様に電機メーカー労組で組織する電機連合も来春闘での統一要求として、月額4500円の賃上げを求める方針を決定。今春の要求額(月額2000円)の2倍近い水準だ。自動車総連の西原浩一郎会長は、「内需拡大により、景気拡幅に取り組んでいく必要がある」と大幅な賃上げ要請の理由を説明する。
また、春闘交渉の中核をなす鉄鋼や造船・重機、非鉄金属業界で組織する基幹労連は隔年交渉のため、09年春闘での賃金改善要求はないが、連合・IMF−JCと連携して雇用対策を本格化する。運動方針に「直接雇用の非正規労働者の雇用確保を組織全体の課題として対応」との文言を盛り込み、各単組を通じて非組織労働者の現状把握に初めて取り組む方針だ。
だが、深刻な業績悪化に直面した経営側に、賃上げに応じられる余力は極めて少ない。トヨタ自動車は連結業績開示以来、初の営業赤字に転落する見通しとなったほか、電機業界ではソニーが全世界で正規、非正規合わせて1万6000人以上の人員削減を打ち出すなど、「賃上げどころか雇用の維持さえ危ぶまれる」(自動車メーカー幹部)状況だ。
また、労組側がベア要求の根拠にしていた物価上昇も「鈍化しつつある」(電機大手役員)ことなどを理由に、賃上げには応じない構えを見せており、労使の溝は一段と深まっている。
経営側の春闘の指針となる日本経団連の経営労働政策委員会報告(経労委報告)は、ベアは困難と賃上げ抑制に転じ、「雇用の安定に努力する」と、賃上げよりも雇用確保を焦点とする姿勢を鮮明にしている。経団連の御手洗冨士夫会長は24日の会見で、「賃上げはおのおのの会社の支払い能力に応じ、決めるものだが、ベアに応じられる企業は非常に少ない」と改めて強調した。
年明け以降、各労組の要求方針も順次固まるが、底の見えない不況を前にして、労使双方の意識の乖離(かいり)は大きく、近年にはない厳しい春闘交渉となりそうだ。(内田博文)
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