FujiSankei Business i.
2008/12/16 11:23
年末商戦を迎え、パナソニックの統一ブランド展開に対抗して東芝が昨年の3倍のペースでテレビCM出稿量を増加させるなど、白物家電分野の広告宣伝競争が過熱している。背景には薄型テレビなどデジタル家電需要が鈍化するなか、生活スタイルの変化や質向上に応える高機能家電は2けたの販売増を維持。各社の新製品投入ラッシュが続いていることがある。
パナソニックは10月1日にブランド統一後、3カ月間で10万本のテレビCMを展開中。「通常、景況が悪くなると広告出稿を抑えるが、今年は進化した新ブランドの価値を伝えることが最優先」(ホームアプライアンスマーケティング本部の中島幸男商品グループマネージャー)と判断した。
東芝が11月に量販店を”占拠”して実施した白物家電イベント=東京・秋葉原のヨドバシカメラ マルチメディアAkiba
白物家電で競合する東芝は対抗上、これまでにない積極的な宣伝戦略を展開、テレビCM市場に異変をもたらしている。
CM調査会社のニホンモニター(東京都港区)によると、景気低迷でテレビのスポット広告が落ち込む中、CM出稿量が突出しているのが両社だ。12月第1週(1〜7日)の白物家電の民放キー局5社のCM出稿量は、東芝がパナソニックの115本をしのいで183本だった。パナソニックが高価格帯の洗濯乾燥機と掃除機を中心にCMを打ったのに対し、東芝は冷蔵庫中心に全製品を均等にアピールした。
「東芝は圧倒的に出稿が多い。ゴールデンタイムのスポット枠などを2社が取り合ったことが予想される」(ニホンモニターの星野正明企画部課長)。
一方、東芝は「テレビCM3倍増を決めたのは秋口。今冬のの特徴は生活家電8製品で従来機に比べ年間6万5000円電気代が安い、と具体的な数字で消費者に節約効果をアピールしている」(関根優一広告部部長代理)。白物家電では珍しく、高額出演料の人気俳優2人(阿部寛と天海祐希)を起用、製品ごとのCMを制作し放送中だ。
東芝は2008年9月中間連結決算で、家電事業は約70億円の営業赤字。09年3月期通期では損益均衡を見込む上で、年末年始の白物家電の売り上げは前年同期比2割増を狙う。08年3月期の広告宣伝費は約198億円だったが、09年3月期は大幅増が確実な情勢だ。
大型家電量販店の“ビルごとジャック”でも両社はつばぜり合いを演じる。ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba(東京都千代田区)の佐藤正敏マネージャは「秋口には、休日の各階フロアはメーカーのプロモーションが年明けまで押さえた。初めてのことだ」と驚く。
東芝は11月22日以降、例年行っていたヨドバシカメラの販促活動を規模拡大し、1〜6階の全売り場で連動キャンペーンを実施。お笑い芸人らも呼んで、会場から1時間ほどラジオで公開生中継した。12月からは全国5都市にもラジオの連動中継を順次広げている。
パナソニックも今月13、14日、ヨドバシカメラの1〜6階を“占領”。売り場の陣取り合戦でも2強対決の様相を強めている。
◇
【予報図】
■魅力ある独自技術が不可欠
パナソニックと東芝の白物家電へのテレビCM大量投下は、細るテレビCM市場で異彩を放つが、独自技術による魅力ある製品開発とのバランスによって初めてブランド浸透効果が発揮できるだろう。
電通によると、昨年の国内総広告費は前年比1.1%増の7兆191億円。液晶テレビや電気洗濯機などが不振の「家電・AV機器」は7.5%減と5年振りに減少した。08年は高級家電の好調で再び増加に転じる可能性が高いが09年以降は不透明。
一方、インターネット広告は増加の一途。量販店を借り切りビルごと広告塔に仕立てる手法も消費者密着のブランド訴求効果を狙った新手の“CM”といえる。景気後退のなか、ブランド浸透にCMの多面展開は一層欠かせなくなる。(堀口葉子)
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