FujiSankei Business i.
2008/11/06 10:58
JR東日本がICカード乗車券「Suica(スイカ)」を大学の学生証などと一体化する戦略に乗り出した。利用する側の利便性が高まるうえに、電子マネーでもあるスイカの利用が広がれば、手数料収入も増えるためだ。
第1弾として明治大学がスイカ機能が備わった学生証を国内で初めて導入し、今月4日から運用を始めた。
Suicaが備わった学生証を使って証明書発行の手続きをする様子。学内事務手続きの効率化にも寄与する=5日、東京都千代田区の明治大学
明大が導入した新学生証は、カード表面に学生の氏名や所属学部、顔写真が印刷されている。スイカを認証システムのセンサー部に接触させることで、図書館など学内施設の入退室管理が行えるうえに、在学証明などの各種証明書を発行することもできる。
さらに、スイカ本来の鉄道乗車券や電子マネーとしての機能を活用することで、通学や買い物にキャッシュレスで対応。私鉄が発行する「PASMO(パスモ)」との互換性があるために利便性が高い。
明大の場合、全学生と教職員分合わせて3万1000枚を導入したという。これによって通勤・通学にJRを利用するか否かにかかわらずスイカを保有することになるため、電子マネーとしての利用も促進されることになると、JR東日本は期待する。そうなればスイカ事業の収益も拡大する。
同社によると、今年1月に2017万枚だった電子マネー対応スイカの発行枚数は、9月末までに2347万枚に拡大した。電子マネーとしての決済に利用される件数は、パスモ加盟店なども含め1日あたり 134万件(9月実績)と順調に拡大している。
今後、JR東日本は大学に加え、企業にも社員証と一体化したスイカの導入を働きかける方針だ。
◇
【予報図】
■乗車券機能が激戦制すカギ
電子マネーをめぐっては、スイカ、パスモといった鉄道系と、ビットワレットが運営する「Edy(エディ)」、セブン&アイ・ホールディングスの「nanaco(ナナコ)」が、三つどもえの争いを演じている。その中でエディは、学生証や社員証への一体化戦略で先行する。すでに社員証で 300社以上、学生証でも30校近くがエディを搭載する。
電子マネー事業の収益源は、決済手数料と決済端末のリース料。それだけにカードの所有者を増やすだけではなく、より多くの決済端末を店舗に導入し、利用してもらうことが収益拡大につながる。
ビットワレットは「学内だけでなく、学生が買い物する周辺店舗にも端末を設置することで利便性が増し、相乗効果が発揮される」(経営企画部)と学校への導入意義を明かす。
しかし、スイカは、鉄道乗車券として利用できる点で優れる。このため潜在的な可能性が高く、この優位性を発揮することで巻き返しは十分可能だ。(門倉千賀子)
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