FujiSankei Business i.
2008/10/03 11:07
経済産業省がロボット産業の活性化に向けた研究会を立ち上げた。「生活支援ロボット」の開発課題やロボット技術の利用方法などを検討していく。本格的な生活支援ロボットは、安全基準がないことから開発が滞っているが、経産省は厚生労働省との人材交流も行い、安全基準を明確にして民間の開発を促進したい考えだ。
経産省がロボット産業を推進するのは、少子高齢化社会によって「人材が絶対的に不足する時代」が到来するため。モノづくりの現場を支える「次世代産業用ロボット」が必要となるだけでなく、高齢者らの自立支援や家庭、地域の安全・安心の確保に生活支援ロボットが不可欠になるとみたためだ。
ロボット市場は2004年に5000億円程度だったが、今後、生活支援ロボットを中心に急拡大し、10年には2兆円程度、25年には6兆円超にまで拡大すると予測されている。産業用ロボットの稼働台数で世界の37%を占め、米国(16%)の倍を超える日本にとって、最大のチャンスとなる。
二足歩行ロボットでは圧倒的な存在感を世界に示す日本だが、生活支援ロボットでは、開発、普及が遅れているのが実情だ。セコムが、体の不自由な人が食事の際にわずかな動きでスプーンを操作できる「マイスプーン」を発売しているが、直接人の体に働きかけるようなロボットは、ホンダが加齢などで脚力が低下した人の歩行を助けるロボット「歩行アシスト」を試作した程度にすぎない。
北欧や米国で生活支援ロボットの開発や実証研究が本格化しているのに比べると、出遅れ感は否めない。その背景には人に接するような生活支援ロボットについての安全基準がなく、「民間企業が人身事故のリスクをおそれ、開発に踏み切ろうとしない」(経産省)ことがある。
製造産業局内に立ち上げた「ロボット産業政策研究会」は、工学院大学の三浦宏文学長を座長に、ファナックやトヨタ自動車といったロボット関連企業だけでなく、ニチイ学館やセコムといった介護関連、生活安全関連企業などからも参加。ユーザーやサービス提供者の視点も含めて、実用化、事業化に向けた検討を始めた。
今後、3つのワーキンググループを設け、安全基準のあり方や開発の方向性などを議論する。どのようなサービスがロボットに求められるかや、ロボットの利用領域を広げる方策などについても検討し、年内に中間報告書、年度内に最終報告書をまとめ、公的支援の方向性なども打ち出したい考えだ。
経産省では並行して、厚労省とも安全基準について議論し、来年度以降、介護施設などでの実証実験も始めて、早期の安全基準づくりを目指す。

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